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長男の自閉スペクトラム症を公表・倉持由香「私が悪い」当初は絶望も、向き合うきっかけをくれた夫の言葉…そして発信する意味

ABEMA TIMES

倉持「偏食はかなり激しいですね。素うどんとか素パスタとか麺だけ。具材いっぱい入れてももう全部落とすとか。湊が具材入れても食べないので。最近買ったのが緑黄色野菜入りのうどん。麺に練り込まれているやつを買ってみたので、これを今日ちょっと使ってみようかなと思って、ダメだったら普通の白いのを食べさせようかなとは思うんですけど」

 現在2歳10か月の湊くんはほとんど話すことができない。一般的に幼児が何らかの言葉を発しはじめるのは生後9カ月〜1歳半と言われている。

「毎日泣いているような状況」追いつめられ自分のことを責める日々

 倉持は、診断された当時を振り返り、未来に希望を見出せなくなっていたと話す。

倉持「今後、湊は喋れるようになりますか?っていうのがやっぱり心配でした。『ママ』『パパ』ってちゃんと言えてもらってないんですけど、今後どうなっていくんですか?うちの子というか、我が家はどうなっていくんだろうっていうような。未来が結構不安になってしまって。あとは受け入れなきゃいけないっていう気持ちもあるんですけど、信じたくないっていう気持ちもあるし、どうしようってなってしまって。そこから1カ月近く私が何もできないような状況になってしまって、毎日泣いているような状況というか…、それでしばらく私も病院に通ったりして…」

 この自閉スペクトラム症は遺伝的な要因が複雑に関与して起こると言われており、倉持は自分を責めたこともあったという。

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倉持「私が悪い、私もだいぶできること、できないことの凸凹がすごく激しくて、できることはすごく得意なんですけど、できないことはすごくできなかったので、そういった私の特性がだいぶ受け継がれたのかなとか、私がいけないんだと自分を責めました。公表した時にも(ネット上では)お前のせいだろとか。私だけじゃなくて夫のせいにもされたり。『グラビアアイドルとプロゲーマーなんて、まともじゃない職業についてるやつの子どもなんか自閉症で当然だ』みたいな感じのご意見とかもあったり」

 追い詰められた倉持は、次第に奏くんの存在を隠すことも考えるようになったという。

倉持「仕事場とかでメイクさんとかに『お子さん今何歳ですか?』『2歳何カ月ですか!うちの子もそのくらいなんですよ。今いっぱい喋って楽しい時期ですよね!』みたいな感じで、全然悪気なく話しかけられた時に、なんかすごく辛くなってしまって。そこでうちの子まだちょっと喋れなくてっていう風に言って、『ああ…そうですか、男の子って遅いですもんね』っていう風にずっとフォローしてもらっていたんですけど、いつまでこの『男の子って遅いですもんね』のフォローをずっとみんなにしてもらうんだろうと。自閉スペクトラム症って診断されてから息子のことを隠せるのかなってすごく悩みました」

「湊のことを理解して攻略していくしかない」向き合うきっかけをくれた夫の言葉

 そうした中で湊くんと向き合えるきっかけをくれたのは、プロゲーマーらしい夫・ふ〜どの言葉だった。

倉持「夫から『自閉スペクトラム症って診断されたんだから、もうずっといつまでも後ろ向きにいてもしょうがないから、湊のことを理解して攻略していくしかないでしょ』って。『時間を進めていこうよ』って言われて。そこから前向きになれるようになりました」

ふ〜ど「そのまま停滞してもねっていう。だって成長するじゃないですか、子どもは。普通の子でも別に一緒だと思うんで、多分支えるっていうのは、変わらないかなっていう。その割合とかそういうのは増えるとかはあるのかもしれないですけど、周りも助けてくれる」

 さらに同じ境遇の親とかかわりを持つことで自分を保つことができたという。

倉持「私も診断された時に、SNSとか小説とか漫画とかで自閉スペクトラムの当事者の方だったり、親御さんのエピソードをすごく調べたんです。子どもが自閉症ですっていう方の漫画やSNSをすごく見て、あ!うちの子もこういうことをするとか、おむつを投げるのうちの子だけじゃないんだとか、みんな大変なんだとか、苦しみとか大変さを分かち合うというか。大変なのはうちだけじゃないんだっていうのは結構励みになりました。それでだいぶ救われました。最初の孤独感がすごかったんです。他のママ友とか定型発達のお子さんなので、何できるようになってとか、ダンスできるようになってとか、ランドセルはこんなの選んだよとか、あとは私と同じぐらいに産んだ方のタレントさんとかのSNSもフォローしていたんですけど、子どもと一緒にアフタヌーンティーに行ってきましたみたいな感じで、すごくおしゃれな格好をして、おしゃれなお店で、おとなしく座っている子がいて。湊はとてもとてもそんなことはできないので、どうしても普通の子と比べてしまったりしていたんですけど、それでどうしようとか、うちは今後どうなっていくんだろうみたいなのがあったんですけど。でもそんな時に、うちの子もそうなんですよっていうような方や漫画にだいぶ救われたので、うちも発表することで、同じように苦しんでいる人とかと分かち合えたらいいなと。苦しみも、あとは喜びも分かち合えたらいいなって思いました」

 現在では、夫婦で湊くんの将来について話すことも多くなったという。

倉持「よく家族3人でお風呂に入るんですけど、湊は小学校どうなるかなとか(話す)。家の学区で通う予定の小学校にも特別支援クラスがあるんですけど、そういうところに行くか、もしくは養護学校に行くかとか、そういう話をします。でも、今この先のことを考えてすごく不安になるよりは、とりあえず目の前の湊の成長を促して、その時に湊が一番行きやすい選択肢を選べたらいいよねっていう話はしてます」

 今年4月からは、保育園の他に障害のある子の発達を促し、日常生活を自立して送れるよう支援する “療育”にも通っている。

倉持「おととい、初めて初回の療育に行ってきて、そこは夫が連れて行ったんですけど、初回はすごく楽しく、いっぱい体を使って遊ばせてもらったみたいで。足の裏の感覚が鈍いから、刺激を求めてつま先立ちになったり、あと結構飛び跳ねたりとかするんですよね。寝ない間ベッドの上で2時間ぐらいずっと飛び跳ねてたりするんですけど、そういった感覚の普通の子とは違う感覚の過敏さだったりとか鈍さだったりとかを、なるべく普通の感覚に近づけたりとか。そういう訓練とかも多分療育でやっていくんだと思うので、なるべく療育に通った方が生きやすくはなるかもしれないです」

「普通の子と比べるのはやめて、湊のことをちゃんと見ていこう」育児の向き合い方に変化

 倉持は今年4月4日、NHKの番組内で湊くんの特性について公表。

倉持「公表した方が湊も私も夫もみんなスムーズに生きれるんじゃないかなって思ったんです。もちろんそういうことのデメリットもあるんですけど、その天秤にかけたときに、公表して『大変だ』って思ってほしいとかじゃなくて、『湊くんはそういう特性、個性があるんだね』っていう風に、あらかじめ知っておいてもらった方が生きやすいかなって思って、今回の公表は私も湊も夫も家族が前を向いていくための公表だと思ってます」

 周りの子の成長速度を基準にしていたがために、遅れを取るわが子を気にしていた倉持。しかし、育児が徒競走ではなく単独走だと気づけたことで、湊くんのゆっくりとした歩幅に寄り添うようになった。

倉持「むしろ診断されてよかったです。診断されてなかった状態の方が他の普通の子と比べてしまって、なんで湊はできないんだろう。あの子はできているのに。同じくらいに生まれた子はもうペラペラと喋れているのに、なんでだろう。私の育て方がいけないのかな。なんでだろう?ってなっていたんですけど、やっぱり診断されたことで、普通の子と比べるのはやめて、湊の個性を見ていって、湊のことをちゃんと見ていこうっていうふうに思うようになりました。湊がすごく好きなものを今探している途中だと思うんです。生まれてから2歳10カ月で色々なものを見て、なかなか大人と目を合わすことはできないけど、アリだとかキノコだとか、色々なものを見て、キラキラした目でこの世の中のものを発見していっているので。湊のこの世の中のキラキラ探しをずっと手伝っていける親でありたいです」

(『ABEMA NEWS』より)

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