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実写『シティーハンター』冴羽リョウのアップデートは最大の難関 プロデューサーが挑んだ海外版との差別化

シネマトゥデイ

ユーモアとシリアスを絶妙にブレンド! 実写ならではの世界観を生んだ『シティーハンター』 – (C)北条司/コアミックス 1985

 漫画家・北条司の代表作を実写化した映画『シティーハンター』が4月25日に配信を迎えた。世界中で絶大な人気を誇るコミックの映画化に挑んだのは、実写版「ONE PIECE」「幽☆遊☆白書」を成功に導いたNetflix。伝説の主人公・冴羽リョウ役に鈴木亮平を迎えた“はじまりの物語”はいかにして実現したのか。Netflixの高橋信一プロデューサーがその裏側を語った。

鈴木亮平の驚異的な献身

(C)北条司/コアミックス 1985

 東京・新宿を拠点に、裏社会のトラブルを解決する一流のスイーパー(始末屋)・冴羽リョウの活躍を描く「シティーハンター」。スリリングなアクションとユーモアたっぷりに展開する、魅力的なキャラクターが織りなすドラマは、今なおファンから熱狂的に支持されている。

 主演の鈴木にとっても「シティーハンター」は、役者人生のきっかけになったというほど大切な作品。高橋も、以前からその熱を肌で感じていたという。

 「鈴木さんとは、前職の日活時代に『ひとよ』(2019)という作品でご一緒させていただいて、『シティーハンター』に対する熱い思いも撮影現場で聞いていました。その頃から鈴木さんの作品や役に対する向き合い方は並外れていて、時間も労力もいとわず没入する姿を見て、いつかもう一度、こんな俳優さんと仕事をしてみたいと強く感じていた。それも『シティーハンター』をやろうと思った理由の一つです」

 冴羽リョウを演じるため、海外での実銃訓練や筋肉質だがスリムな肉体作りなど、今回も献身的な役づくりに挑んだ鈴木。その情熱は制作にも向けられた。高橋は「脚本段階から亮平さんも参加して、幾度となく打ち合わせを重ねました。大まかな流れはできていましたが、ディテールの詰めからアクションシーンのシチュエーションまで、本当にいろんなアイデアをいただきました」と明かす。

北条司からは「漫画の絵も使わないで」

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 その再現度が話題を呼んだフランス版『シティーハンター THE MOVIE 史上最香のミッション』(2019)をはじめ、世界各国で実写化されてきた「シティーハンター」。日本初の実写映画化にあたり、高橋は、原作者の北条から意外な言葉を送られた。

 「北条さんに言われたのが、漫画やアニメは一切気にしないで、実写ならではの世界を築いてほしいということでした。フランス版では原作愛を表現するいくつものアイデアの中の一つとして、エンドロールに漫画の絵を出すことも演出として行われていましたが、できれば、漫画の絵を使うのもやめてくださいと。漫画と実写は違うメディアである以上、全く別物になるはずだし、そうあるべき。だから、皆さんが思い浮かべる実写版を日本で作ってくださいと、最初に強く言っていただきました」

(C)北条司/コアミックス 1985

 そうして生み出されたストーリーは、リョウとヒロインの槇村香が相棒となっていくまでの“はじまりの物語”。「リョウと香の関係は『シティーハンター』の魅力のひとつですが、地に足を着けて実写化するのであれば、その始まりを描くべきだと思いました。“エピソード0”的な物語にすれば、一般市民の一人である香が銃を手にすることなど、観客がリアリティを持って世界観を受け入れてもらいやすい。各国の実写版との差別化もできますし、これならできるのではないかという、手応えがありました」

 「私も亮平さんも漫画と実写は違うということはわかっていましたが、北条先生から『実写ならではの世界を築いてほしい』というお言葉で、より強い思いで作品に向き合えました。ただ、完全に違う作品にしてしまうと映像化の意味がない。原作のどの部分を残し、強化し、変えさせていただくのか。相当時間をかけて、丁寧に議論しましたし、北条先生からは、キャラクターの描写について『私が描くのであれば、こうするかもしれません』といった形で、自由度と共にアイデアもいただけた。すごくいい形でキャッチボールをさせてもらえたなと思っています」

最も困難だった…リョウのアップデート

 そんな高橋たちが最も気を使ったのが、リョウの“もっこり”な一面。無類の美女好きもリョウの魅力の一部だが、時代に合わせたアップデートは必須だった。「そのあたりのバランス取りは本当に難しかったです。北条先生からは、当時の時代背景あってのことなので、良いと思う形で変えてくださいと言っていただきましたが、先生の培ったキャラクター性を無視した変更をすれば、それは冴羽リョウではなくなってしまう」という高橋。

 「例えば、リョウが歌舞伎町のビルからサウナの美女たちを見ているシーンでは、あくまで仕事として請け負った任務の最中に、偶然見えてしまったという形にする。それでも不快に感じる方はいると思いますが、リョウの行動原理と今の時代でも許容される範囲とのバランスは細かく検証しました。どうすれば、令和の新宿にいる“シティーハンター”を魅力的に感じてもらえるのか。本当にちょっとした動作も含めて一つ一つ、リョウの行動心理から研究しています。正直なところ、このあたりのバランスを考えるのは、今までで一番難しかったです」

人気IP実写化の今後は?

「見たことのない表現や物語を作りたい」高橋プロデューサー
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