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【LIVE REPORT|Smash Go Round FUJI ROCK NIGHTS】田島貴男(Original Love)とbetcover!!が体現した、フジロックの濃密な味わい

Qetic

7月26日(金)、27日(土)、28日(日)に新潟県湯沢町・苗場スキー場で開催される<FUJI ROCK FESTIVAL ’24>(以下、フジロック‘24)。苗場で25回目の開催となる今年、そのキックオフイベントである<Smash Go Round FUJI ROCK NIGHTS>が4月24日(水)にSHIBUYA CLUB QUATTROで開催された。

スペシャルライブのアクトとして登場したのは、<フジロック‘24>DAY 1の7月26日(金)にOriginal Love Jazz Trioとして出演する田島貴男と、DAY3の7月28日(日)に出演するbetcover!!。世代の異なる二組の共演に心躍りつつも、直接的な接点の少なさゆえ、当日のフロアの様子は開演するまで全く想像できなかった。しかし、フジロックの歴史は、あらゆる「距離」を開放的なサウンドとミラクルによって打ち消してきた歴史でもある。この日もまた、そこにあったはずの「距離」は消え失せ、大勢のオーディエンスで賑わった会場は歓声と熱狂に包まれていた。

ⒸTaio Konishi

開場時刻になってSHIBUYA CLUB QUATTROの階段を上がると、入り口すぐの目立つ位置に忌野清志郎の姿が。その隣にはJoe Strummer、Rage Against the Machine……と黎明期からフジロックの芯を担うレジェンドたちが並ぶ。無料で入場することができるフロアには、歴代のフジロックで名演を披露したアクトのライブフォトが展示されていた。ズラッと眺めてみると、フジロックが世界の音楽シーンの中でも独自の立ち位置にありながら、その時代に合わせたステージを提供してきたことが窺い知れる。

さらに、往年のフジロック参加者たちにとっては悶絶モノである歴代公式パンフレットたちが並ぶエリアも。開いてみると、その熱量と文字数に圧倒される。またアーティストたちからのコメントも充実しており、彼らからのフジロック愛がそこからひしひしと伝わってきた。

ⒸTaio Konishi
ⒸTaio Konishi

入場無料のエリアには、名物・とろろ飯やiichikoが「一番美味しい割合」で提供するいい茶こなどのグルメが出店。また、フジロック当日の会場内で重要な役割を果たす移動の要・ボードウォークの天板に寄せ書きができるゾーンも出現し、子どもからベテランの参加者まで思い思いのメッセージやイラストが続々と書き込まれていった。この天板は5月18日(土)に開催されるボードウォークキャンプで苗場の森に取り付けられる予定だ。

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さらに、アーティスト物販はもちろんのこと、オフィシャルショップ・岩盤によるチケット販売やオフィシャルグッズが展開されるなど、SHIBUYA CLUB QUATTROはまさに「小さなフジロック」状態だった。

この日の場内DJを務めるMichael(Tangle)はフジロックに関連した選曲でフロアを温めていた。特に開演直前、今年デビューアルバムをリリースし破竹の勢いでフジロックへ出演する超新星・Frikoから、2018年に奇跡の出演を果たしたBob Dylanへ繋げてライブ本編へと橋渡しする構成に、フジロックがフジロックたる所以が詰まっているような気がした。

ⒸTaio Konishi

先に登場したのはbetcover!!。ユースを中心に強固な支持を獲得している、変幻自在のオルタナティブサウンドが、今年初めて苗場に鳴り響くのだ。この日は5人編成、フロントマンの柳瀬二郎がタイミングを計りながらバーストと静寂を制御していく。インプロヴィゼーションやキメが決まるたびに歓声が起こり、大きなうねりが会場内に充満していった。

観客とコミュニケーションを積極的にとる訳でもなければ、底抜けの明るさでステージを彩る訳でもない。ただ妖しく、しなやかに、ネガフィルムに縁取られた光景を連発するようなbetcover!!の演奏は、フジロックの懐へとグサリと刺さったかのように思えた。『high school !! ep.』収録の“ダンスの惑星”からスタートした5人は、45分間をほぼノンストップで走り切り、痛快な余韻と7月への期待を残してステージから去った。

ⒸTaio Konishi
ⒸTaio Konishi
ⒸTaio Konishi

その後に登場したのは田島貴男(Original Love)。冒頭からリゾネーター・ギターを弾き倒してパワフルに歌い上げ、オーディエンスのハンドクラップを自然に誘い、瞬く間にフロアの温度を引き上げた。ストンプボックスとフットタンバリンを巧みに操作する「ひとりソウルショウ」スタイルのステージ。全身から湧き出るソウルの重厚なパワーに圧倒される。

今年のフジロックにはオルガニストの河合代介とドラマーの大槻カルタ英宣と共にジャズトリオとして登場する田島貴男。中盤に披露した“接吻”では愛機である大きなフルアコに持ち替え、甘いトーンのギターソロを響かせる場面もあった。あらゆるジャンルに精通し、超一流のプレイヤーとして魅了する田島が、トリオ編成でどのように苗場の観客をロックするのだろうか。今から楽しみでたまらない。

ⒸTaio Konishi
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