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ライブレポート:THE YELLOW MONKEY<SUPER BIG EGG 2024 “SHINE ON”>|不滅を宣言した輝かしき「復活の日」

Qetic

この一度限りの人生が、THE YELLOW MONKEYというバンドとともにあること。 2024年4月27日、熱狂が充満する東京ドームで彼らのステージを見届けた5万人の観客全員がその歓びを噛みしめたのではないだろうか。

2020年のコロナ禍に動員数制限のもと敢行された<30th Anniversary LIVE -DOME SPECIAL->から約3年半、そしてフロントマン・吉井和哉の2年にわたる喉の病気による治療を経てたどり着いたこの夜は、THE YELLOW MONKEYのロックンロールをもってして「LIVE」という言葉の本質を体現したと言い切れるほどの時間だった。

オフィシャルHP上でおよそ1ヶ月半前にスタートしたカウントダウンがゼロを示した開演時刻の18時30分。割れんばかりの拍手と歓声のなかステージに光が灯る。そこに並び立つ吉井、EMMA(菊地英昭/Gt)、HEESEY(廣瀬洋一/Ba)、ANNIE(菊池英二/Dr)、そして長年サポートを務める三国義貴(Key)と鶴谷 崇(Key)が脇を固める最強の布陣だ。

「ついにこの日がやってきました。今宵は“SHINE ON”、みなさんと俺たちが最も輝く日でありたいと思います!」と語りかける吉井の声と耳を傾けるメンバーたちの表情には、抑えきれない興奮のなかにも、ようやくこの瞬間を迎えられた安堵が滲んでいるようにも感じられた。

一曲目に披露されたのは“バラ色の日々”。ピアノの旋律に重なるのは、その場にいる5万人と悔しくも声出し禁止となった2020年の公演時に企画された<Sing Loud!>を通して国内外から届いた歌声だ。そこに重なるのは、病のことなど忘れてしまうほどに伸びやかな吉井のボーカル。圧倒的な一体感は最高の幕開けにふさわしく、同時に3年半の時を経てようやく<30th Anniversary LIVE -DOME SPECIAL->が本当のクライマックスを迎えたのだと思えるほどの多幸感に満ちていた。

開幕からすでに最高潮に達した観衆に向けた「THE YELLOW MONKEYのロックンロールを久しぶりにぶちかましたいと思います」という吉井の宣言どおり、この日披露されたのは代表曲を網羅したオールタイムベスト的セットリスト。ギラついたWギターが絡み合う王道グラムロックな最新リリース曲“SHINE ON”と野太いリズム&グルーヴが身体を揺さぶる’92年発表のファーストシングル“Romantist Taste”を立て並べる構成に、THE YELLOW MONKEYの揺るぎないアティテュードをまざまざと見せつけられた。

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続く“Tactics”では、「声はいらないから、身体でください」という2020年のMCを塗り替える「声も身体も欲しいです!」という吉井の要求に観衆が全力で応える。バックスクリーンには、マルチアングルで捉えたメンバーたちの姿。映し出される稀代のロックバンドがいま目の前で躍動している現実に何度も胸が熱くなる。それはこの日を迎えるまでにバンドが乗り越えてきた障壁を思えばこそ、だ。

幻想的なシタールの音色を想起させるEMMAのギターとシンセサイザーが織りなす、アンビエントのようなアンサンブルから流れ込むようにはじまった“聖なる海とサンシャイン”、一転して空間ごと燃やし尽くすほどの熱量で吉井がエンタテイナーっぷりを発揮した“BURN”、続く“ROCK STAR”ではEMMAとHEESEYがステージ端へと駆け抜ける。

MCでは吉井が「平均年齢58歳のバンドにもかかわらず集まってくれて」と観衆の笑いを誘ったが、ステージングはさることながら、ライブが楽しみで前日眠れなかったというお茶目なHEESEY(この日は61歳初ステージ)も、拍手を煽って客席とのコミュニケーションを全身で楽しむANNIEも、その光景に目を細めるEMMAも、奇妙なほどこの何十年間ずっと変わらずに輝いている。

しかし、人は等しく、いずれくる終わりに向かっている。眩い光のなか、怒涛の勢いで“楽園”、“SPARK”、“ソナタの暗闇”、“天道虫”、“太陽が燃えている”を畳みかけたあと、突如暗転した空間で上映されたドキュメントには、いまこの瞬間が当たり前ではないことを痛感させられた。吉井の病が明らかになった2022年1月からの生々しい記録。吐露されるメンバーの心境、術後の傷ましい姿。吉井がビデオの中でさらけ出した掠れた声に会場がどよめいた。

同時に、THE YELLOW MONKEYを突き動かすのは、死と向き合い生に対峙した強さと試練の先にある希望を諦めないバンドとしての覚悟なのだろう。「人はみんな死ぬし、過去には戻れない。怖がる必要はない」という吉井の言葉に続いて“人生の終わり(FOR GRANDMOTHER)”のイントロが始まる。「血が泣いてるんだよ」と繰り返す吉井の姿とスクリーンに映し出された歌詞の一節一節がこれまでよりさらに強く胸に響く。過酷な2年間をさらけ出したことが、物理的な距離では測れない親密感を会場にもたらしたようにも感じられた。

祈りにも似た静寂から一転、ここで“人生の終わり”の対になるように“SUCK OF LIFE”をぶつけてくるところが実に「らしい」。先ほどまでのシリアスな空気を打ち破るように吉井はマイクスタンドをぶん回し、EMMAとのキッス(?)を披露、会場のテンションを一気に沸点まで引き上げる。

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