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ネタバレ=絶対悪なのか? 劇場版『名探偵コナン』試写会なしの意味を考える

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『名探偵コナン 100万ドルの五稜星』©2024 青山剛昌/名探偵コナン製作委員会

 劇場版『名探偵コナン 100万ドルの五稜星(みちしるべ)』が公開初日3日間だけで33億円の興行収入を叩き出す大ヒットを記録している。

参考:『君たちはどう生きるか』を機に考える、映画における“無宣伝”という永遠の夢

 今回は、ネタバレ防止を徹底するためか、事前に試写回が開催されなかった。その影響が興行の初動にどの程度影響したのかを把握することは難しい。ただ、ファンにとってはネタバレ厳禁なネタが仕込まれていたことは確かで、初見で衝撃を受けてもらうという狙いは、おそらく功を奏したと言えるだろう。

 ネタバレをどう扱うか、今はとても難しい社会状況となっている。コナンほどの人気タイトルならいざ知らず、一般の映画では事前にどんな内容なのか、ある程度情報を出さないことには注目されないし、かといって、熱心なファンほどよりネタバレしてほしくない。どこまで情報を出すか、いつ出すかというタイミングを間違えると炎上することもあるし、さらに言えばネットに跋扈するネタバレサイトは著作権侵害や業務妨害罪ともなり得る。

 そして、世の中には「ネタバレは絶対悪」という人もいれば、同時にネタバレを必要とする人々もいる。ネタバレは今、一筋縄ではいかない問題なのである。

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■ネタバレをめぐって両極端な対応を迫られる映画宣伝
 何がネタバレにあたるのか、個々人によって許せる範囲は異なり、その境界線を引くことは大変に困難だ。ただ、一般的には物語の結末や重要な核心に触れる内容を公表することが、ネタバレと解釈されることが多い。

 例えば、今回のコナン映画では、宣伝文句として「ついに明かされる怪盗キッドの真実」というコピーが使用されているが、この真実に相当する内容を語ったら、一般的な解釈としてネタバレになる。

 しかし、少年探偵団がどの程度登場するとか、途中にどんなアクションがあるかといった内容の場合は、どうなるだろうか。それくらいは許容範囲という人が多いだろうけど、人によってはネタバレと思うかもしれない。そういう曖昧な領域はどんな作品にとってもあり、絶対的な線引きはできない。極端な話、「怪盗キッドの真実が明かされる」というコピー自体がネタバレと思う人だっているだろう。

 現在の映画宣伝は、こうした情報のコントロールにかなり神経質になっている。試写会に行くと、「~については公開~週間後までは書かないでください」と言われることもよくある。初週には特に熱心なファンがこぞって劇場に向うが、数週間後からはライトな客層も増えていくため、徐々に情報を出していくわけだ。

 今回のコナン映画は、ここ数年の作品の中でも衝撃度の高いネタが仕込まれていたために、事前に一切試写をせずに秘匿する選択をとった。万が一事前に情報がもれたら大炎上になっていただろう。

 しかし、熱心なファンはそれでよくても、カジュアルに作品を楽しみたい層にとっては、内容がわからないと観たいかどうかの判断ができない。より詳細な内容を知った上で吟味して劇場に行きたい人もたくさんいるので、映画興行はその両方にアピールする必要がある。

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