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衆院東京15区補選、演説さえまともにできない異常事態に……選挙ライターに聞く“迷惑系”立候補者の問題点

Real Sound

ーー確かに、子連れだとその状況は厳しいでしょうね。

畠山:実のところ、こういう取材で「つばさの党」という名前を出すのも、彼らの宣伝になってしまうという側面があります。騒ぎを起こして注目させることで自分たちの主張に耳を傾けさせる方法をとっているので、それはどうなのかと。つばさの党以外にも「日本保守党が演説の場所を譲らない」とか、細かいところで他の揉め事も起きているんです。これらは総じて、紳士協定で譲り合ってきた従来型の選挙を破壊したり、選挙というものをハックしようとするやり口と言えます。

ーー候補者の演説を聞くことすらできないというのは、民主主義にとってかなりのピンチだと思います。

畠山:選挙というのは候補者の主張がまずあって、それについて有権者が判断するために街頭演説が行われているわけです。なのに主張がそもそも聞き取れない選挙というのは一体有権者にとってなんなんだろうと思います。さらに、「街頭演説の場で揉め事が起きる」ということで、演説や選挙自体にあまり参加したくない、自分たちから入っていきたくないと有権者に思わせてしまうのも由々しき事態です。

ーー選挙そのものを忌避するようになっちゃいますよね……。

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畠山:一方で、つばさの党の主張の方法に対して現行法で対処したり、スタッフや支援者がちゃんと候補者に演説をしてもらう状況を作ることができていないという点にも、モヤモヤしたものを感じます。「ああいったやり方にうまく対処する方法を選挙期間中に編み出して、有権者が普通に演説を聞ける」という状況を作ることができない人たちに、政治を任せていいんだろうか……と思います。

既存マスコミの影響力が露呈?

ーー確かに、「大音量で暴言を言って妨害してくる」という攻撃方法自体は単純ですし、もう少しうまくやれないのかというもどかしさも感じます。ちなみに、今回の補選で他に注目しているポイントはありますか?

畠山:今回は自民党が候補を立てていないので、自民党支持者の票が誰のところに集まるのか、また自民党支持者はこういった状況では選挙に行かないのか……という点がひとつ注目のポイントだと思います。

ーー確かに、自民党支持者の動きは注目すべきですね。

畠山:あと、インターネットとテレビを中心とした既存マスコミの影響力の大小がわかりそうな選挙でもあります。というのも、今回の候補者9人のうち、6人は無所属なんです。衆議院議員選挙の小選挙区では無所属の候補者は政見放送ができないので、9人中3人しか政見放送を利用することができません。テレビで情報を得ている人からすれば、残りの6人は「あんな候補いたっけ?」という感じだと思います。

ーー以前だったら、事実上3人の候補の戦いになっていたわけですね。

畠山:ただ、残りの6人の中にはインターネットの中で支持が高い政治勢力から推薦されている候補もいるんです。だから、街頭演説ができないという点も含めて、テレビなど既存マスコミとインターネットとの影響力の強弱というか、どちらの効果が強いのかが、今回の選挙結果には現れると思います。

 「演説」という、ある意味で民主主義の根幹に関わる部分をハックするような手法をとっているつばさの党。そして、その影響を受けざるを得なくなっている他の候補者たち。いびつな状況は、いまでも東京15区において繰り広げられ続けている。果たしてこの異常な選挙の結果はどうなるのか、28日の投開票が待たれる。

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