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「みんなの呪いが解けますように」自分や相手を縛る思い込みや偏見である「呪い」と戦うボーイミーツガール漫画【作者インタビュー】

Walkerplus

春は一人暮らしを始めたり、新しい部署で働くことになったり…と新生活を迎えるという人も少なくないはず。新しい環境へ身を置くときは、期待とともに不安や戸惑いを感じてしまうことも。ウォーカープラスでは、そんなときに背中を押してくれるような漫画を紹介している。

本稿では、映生( @e_va_lontano )さんの短編漫画「呪いの少年とプリンセスになりたい少女」をピックアップ。「呪いは世界に溢れてる」から始まる本作は、決してファンタジー作品ではない。ここでいう呪いとは、「いい年して恥ずかしい」「あんたにできるわけない」「女のくせにでしゃばるな」「男のくせに情けない」などの言葉だ。そんな呪いと戦う少年少女を描いた作品に、「否定してくる人たちと戦ったこの子たちはすげぇな」「好きなものを好きって思う気持ちが大事よね」「こんなに感動したのは久しぶり」などの声が寄せられ反響を呼んだ。



■「プリンセスの定義は呪いを解くこと!」少女が解いた呪いとは?
主人公の少年・宮野樹は、教育熱心な母親からラノベや漫画を禁止され、朝読書で読む本まで指定されている。大好きな鉱石についても「石なんてなんの役にも立たない」と否定され、自分の好きなものですら肯定できず、まさに“呪い”にかかった状態だった。

あるとき図書室で、「わたしの夢はプリンセスになること」と公言しフリフリのドレスを着た少女・りこと出会う。「プリンセスの定義は?」との樹の意地悪な指摘に、りこは「呪いを解くことだと思うの!」と答える。そして2人は隣町の神社に“呪いのキューブ”を探しにいくことになった。

道行く大人たちは、りこの服装を見て「うちの子だったら許さないわ~」「うわぁ、もうゾッとする」と陰口をたたくが、「ああいう呪いにはかからないようにしてるんだ」と笑う。そんなりこを見て、樹は自分が知らないうちに呪いをかけられていたことに気づいていく。

神社では同じようにキューブを狙ういじめっ子たちが行く手を阻む。樹は石の知識をもって挑むが、2人は無事“呪いのキューブ”を見つけることができるのか?

■呪いとは自分や相手を縛る“思い込み”
作者の映生(@e_va_lontano)さんに、この作品に込めた思いなどについて詳しく話を聞いてみた。映生さん自身が好きなシーンはバスに乗っているところだという。

「最初は同じバスに乗りつつも席はバラバラで2人の間を遮るように手すりがあって…でも帰りのバスでは…という対比のシーンです。あとマイクラの話をするところも好きです。映画『ワンダー 君は太陽』の映画オリジナルのシーンが好きすぎてマイクラ要素を入れました」

本作に出てくる「呪い」とは何なのかを聞くと「呪いとは“思い込み”のことで、“こうであるべき”とか“こうに決まってる”“普通はこう”といった、自分や相手を縛ること」だと映生さん。

「呪い(=思い込み)って容易にかかったりかけたりできると思うのですが、呪いを解くことができるのは自分自身しかいないと思います。りこが『間違ってなかった!』って泣いていたように、自分だけは自分のことを肯定してあげてほしく、そういう思いが伝わればいいなと思っています」

ちなみに今回の作品は掲載会議で落ちたもので、まだまだストックがあり、気が向いたときにSNSに公開したいとのこと(noteやpixiv FANBOXにて公開中)。今後の新作も期待したい。

世間の呪い(言葉)から自分の夢を必死に守る少女と、そんな少女に触発されて呪いから解放されていく少年。呪いの言葉は思った以上に身の回りに溢れていて、時に新たな挑戦や自分のやりたいことを阻むこともある。自分に知らず知らずかかっていた呪いは何なのか。そして、自分は人に呪いをかけてしまっていないか。改めて気づかせてくれる良作だ。



取材協力:映生(@e_va_lontano)
 
   

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