米ペンシルベニア州で今月13日、生後11か月の我が子が呼吸をせず、青ざめていく様子を目の当たりにした母親がパニックに陥った。そこに駆けつけたのは、ファストフードチェーン店「タコベル」のマネージャーだった。すぐに胸骨圧迫を行うと、乳児は再び呼吸をし始めて事なきを得たという。米ニュースメディア『People.com』などが動画とともに当時の様子を伝えると、冷静な対処したマネージャーの行動に「間違いなくヒーローだ」などと称賛の声があがった。
ナターシャ・ロングさん(Natasha Long)は今月13日、生後11か月の息子マイルズ君(Myles)を連れて、処方箋を受け取るために地元の薬局を訪れていた。その後、食事をしようと考えたナターシャさんは、米ペンシルベニア州バックス郡リッチボロにあるファストフードチェーン店「タコベル」に車で向かった。
店舗に到着してドライブスルーの列に並んでいた時、マイルズ君が息苦しそうにしている声が聞こえ、ナターシャさんはすぐに車を飛び降りて後部座席にいたマイルズ君を抱きかかえた。
ナターシャさんは「息子は真っ青で、まるで生きている感じがしませんでした。私は頭の中が真っ白になってしまって、どうしたらいいか分かりませんでした」と当時を振り返っており、命を失いそうになっている我が子を目の前にしてパニックに陥り、泣き叫び始めた。
この叫び声を聞いて駆けつけたのは、タコベルでマネージャーをしているベッキー・アルボーさん(Becky Arbaugh)だった。ベッキーさんは「付けていたヘッドセットを投げ捨てて、外に駆け出しました」と、のちに明かしている。
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そしてベッキーさんは、青ざめたマイルズ君に胸骨圧迫を行った。しばらくするとマイルズ君は再び呼吸をし始め、顔色が戻ってきた。その後、救急車が到着し、マイルズ君は小児病院「St. Christopher’s Hospital for Children」へ運ばれて必要なケアを受けた。
救急車は要請を受けてすぐに到着したが、マイルズ君は一分一秒を争う状態だったようで、救急救命士は「あなたがこの子の命を救ったんです」とベッキーさんの対応を称賛した。
勤務中にもかかわらず、ベッキーさんが瞬時に冷静な行動を取ることができたのには理由があった。数年前にベッキーさんは、自身の娘が似た状況に陥った経験があり、心肺蘇生法を知っていたからだった。
「うちの娘が幼い頃に、似たような状況になったことがあったので、ナターシャさんの気持ちが分かるんです。ナターシャさんを落ち着かせ、私も冷静でいれば、赤ちゃんが再び呼吸ができなくなるという心配は全くありませんでした。」
翌日、タコベルに電話をかけてベッキーさんに直接お礼をしたというナターシャさんは、「ベッキーさんには、これ以上ないほど感謝しています。ベッキーさんは息子の命を救ってくれたのです」と話している。
このニュースを見た人々からは、「涙が出たよ。心肺蘇生の資格を取得しようと思った」「ベッキーさんの給料を上げるべき」「ベッキーさんは何か意味があってあの場にいたんだよ」「ベッキーさんは間違いなくヒーローだね」など、冷静に対処したベッキーさんに称賛の声が相次いでいる。