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『喧嘩独学』に『TOUGH外伝 龍を継ぐ男』ばりの怪人!? 春アニメにブッ飛んだ伏兵現る

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『喧嘩独学』©PTJ cartoon company・金正賢/LDF・喧嘩独学製作委員会

 春アニメに意外な伏兵が登場だ。『喧嘩独学』である。同作は韓国のWebtoonが原作で、このたびアニメ化されたのだが……その第1話、第2話が良い感じだったのである。

参考:『喧嘩独学』初主演の丹羽哲士、ボクシングにハマったことを明かす 岡本信彦は演技を絶賛

 主人公・志村光太(丹羽哲士)の日常は悲惨そのもの。入院中の母を持ち、家計は火の車。さらに同じクラスの迷惑系ニューチューバー(※決してユーチューバーではない)のハマケン(武内駿輔)から、悲惨な扱いを受けていた。さらにハマケンのカメラマンを務める金子亨(岡本信彦)こと通称カネゴンが家に乗り込んできて、不幸な事故が重なり……とうとう志村はキレる。カネゴンと殴り合いの大喧嘩をするが、偶然にもその姿が全世界に配信され、メチャクチャな再生数を叩き出した。そして志村の懐には動画の収益、ざっと100万円が転がり込む。共に全世界デビューを飾ってしまったカネゴンはここに生存戦略を見い出し、光太と喧嘩をメインコンテンツとするチャンネルを立ち上げ、本格的に動画配信者の道を歩み始めるが……肝心の腕っぷしはからっきし。早々につまずいた志村だったが、謎のチャンネル「喧嘩独学」を見つける。そこでは鶏のマスクを被った闘鶏と名乗る謎の怪人?(杉田智和)が喧嘩のテクニックを教えていた。志村は胡散臭いと思いつつ、闘鶏の教えに従い、喧嘩の技術を磨き、動画配信者として成り上がっていく……!

 韓国のWebtoonは、情報力が多く、なおかつ物語がガンガン進むのが特徴だ。個人的な体感で言うと、日本のマンガの1.5倍ほどのスピード感が求められる。というのも、恥ずかしながら……私はWebtoonの原作を作る側のオファーを受けたが、あれこれ苦労したけれど最終的に私の実力不足で落ちた経験があるので、この辺りは身をもって知っている。その情報量の多さとスピード感が、このアニメ版でも存分に発揮されている。悲惨すぎる主人公の境遇と、どう考えても潰すしかない害悪なハマケン(演じる武内駿輔の100%小悪党に振り切った演技はさすがの職人芸!)。多くの視聴者は「とにかく、この悲惨な志村くんを助けてやって、逆にハマケンをできる限り悲惨な目に遭わせて、スッキリさせてくれ!」と心躍ること請け合いだ。これだけで掴みはOKである。

 さらに、今後のラブコメ展開を予感させるヒロインを3人(正統派美少女、ギャル、怪しげなメガネっ娘)も用意し、『TOUGH外伝 龍を継ぐ男』のキャプテン・マッスルばりに胡散臭い怪人「闘鶏」までブチ込んでくる。たった2話でこの情報量だ。そこを渋滞させずに語り切っているだけでも凄いが、視聴者に対するフックを多数用意しつつ、散漫にならないように、ちゃんと主人公が主人公をしているのも特筆に値する。悲惨すぎる境遇にありながら、それでもユーモアを忘れない志村。そして志村の相方として活躍する、いわゆる憎めない悪役のカネゴン。この2人の掛け合いだけでも、物語をけん引する力がある。本作の現時点での敢闘賞は、間違いなく主人公コンビの声優担当、丹羽哲士と岡本信彦だろう。特に丹羽哲士の真面目で優しい一方で、ちょいちょいゲスい部分を見せる志村役のコミカルな演技は光るものがある。

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 そして……実を言うと、ちょっと自分は「YouTubeで強くなって、YouTubeで稼ぐぜ!」という物語に懐疑的だった。私は日に30時間の鍛錬と言う矛盾を行うことが格闘技漫画だと思っているので、このカジュアルな感じに馴染めなかったのである。恐らくそこに違和感を抱く人はいると思うが……しかし、アニメ版は全体的にコメディ感が原作より増している。必然的にこちらの肩の力も抜け、格闘技漫画として読むと引っかかる部分も気にならなくなり、素直に作品を楽しむことができる。マンガからアニメに変わると印象が変わる、そんな当たり前のことを再認識させられた。

 肝心のアクションに関しては、まだ何とも言えない。2話の時点で本格的な喧嘩のシーンがないからだ。ただ、カネゴンが教室の名もないオタクにマウントポジションでボコボコにされるという、ちょっとしたギャグシーンが異様にイキイキしていたので、今後に出てくるはずのアクションシーンにも期待したい。

 情報量とテンポ感、そして演者たちの演技が上手く噛み合っている『喧嘩独学』。今後も期待していきたいと思う。そして改めて分析して、勉強させていただきます。押忍!
(文=加藤よしき)

 
   

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