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映画好きなら見逃せない! 今見てほしいこの3本!! —年齢を重ねてもますます魅力を増す俳優

キネマ旬報WEB

「クレージー・モンキー/笑拳」

人生百年時代と言われる昨今、ベテラン俳優たちの活躍が目を引く。今年の4月7日で70歳を迎えたジャッキー・チェンは、初主演作から50周年記念映画「ライド・オン」(5月31日公開)で、初のスタントマン役に挑戦。競売にかけられそうな愛馬のために、危険なスタントに挑んでいくスタントマンを演じている。アクション一筋に俳優人生を歩んできたその彼が、監督業に初挑戦した「クレージー・モンキー/笑拳」(79)が今回放送される。ジャッキーが演じるのは、反逆者の汚名を着せられて山に隠れ住む拳法家の孫。やがて祖父は非道な武術家に殺され、ジャッキーは敵を討つため、喜怒哀楽に基づく拳法を習得していくというもの。感情によって表情やしぐさが変化する、異色の拳法を使うジャッキーのコメディとアクションを一体化させた演技が見事。監督、主演の他に脚本、武術指導まで担当したこの映画をきっかけにジャッキーは、さらにスケールの大きいアクションスターへと成長していったのだ。今回はジャッキー・チェンの声といえばこの人、石丸博也が、かつて自分が担当してTV放映されたジャッキーの映画に、カットされた部分の音声を新たに追加収録した〈吹替完全版〉を放送。石丸は新作映画でも吹き替えを担当していて、ジャッキーのメモリアルイヤーを飾る、ファンには嬉しいプレゼントになっている。

「あぶない刑事」

やはり新作「帰ってきた あぶない刑事」(5月24日公開)がスクリーンに登場する「あぶない刑事」シリーズ。主役のタカとユージを演じる二人、舘ひろしは73歳で柴田恭兵は72歳である。前作で刑事を定年退職した彼らは、今回探偵として現れるが、華麗なガンアクションは健在。その軽いノリとおしゃれな会話を含めて、遊び心が詰まった新作になっている。「あぶない刑事」は86年に最初のTVシリーズが始まり、映画も「さらば あぶない刑事」(16)まで7作品が作られた。今回はその映画版初期3本を放送。第1作の「あぶない刑事」(87)は、破壊工作を行う傭兵に横浜港署の刑事、タカ&ユージが立ち向かう一大アクション巨篇。新作と併せて観ると、キャラがぶれない二人の俳優の凄みが、より分かるはずだ。

 

「Shall we ダンス?」

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68歳の役所広司は「PERFECT DAYS」(23)で、第76回カンヌ国際映画祭の主演男優賞を受賞。今年も主演作「八犬伝」の公開を秋に控えていて、まさに日本を代表する名優である。その彼が演技派俳優として注目されるきっかけになった、周防正行監督による「Shall we ダンス?」(96)が登場する。平凡なサラリーマンが見かけた美女に惹かれて社交ダンス教室に通い、やがてダンスの魅力に目覚めていく。周防監督はコミカルな中にも人生の悲哀とささやかな希望をにじませ、極上の人間ドラマに仕上げている。役所はこの映画と「CURE」(97)を足掛かりに、90年代後半、映画賞主演賞の常連受賞者になった。だが振り返れば、彼はこの映画に主演したとき40歳。映画俳優としては遅咲きで、その全盛期はいつまで続くのかと思ったが、未だ衰えを知らず、演技は深みを増すばかりだ。筋金入りのベテラン俳優たちは、時を超えても輝きを失わない。それをスターと呼ぶのだろう。

 

文=金澤誠 制作=キネマ旬報社 (「キネマ旬報」2024年5月号より転載)

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※よる8銀座シネマは『一番身近な映画館』、土曜ゴールデンシアターは『魂をゆさぶる映画』をコンセプトにノーカット、完全無料で年間300本以上の映画を放送。

■5/16[木] 夜8時
「Shall we ダンス?
監督:周防正行
出演:役所広司、草刈民代、竹中直人、渡辺えり子、柄本明ほか
© 1995 KADOKAWA 日本テレビ 博報堂DYメディアパートナーズ 日販

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