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“返品”はたった1人、スイーパーを武器に名門球団で勝ちパターン入りした男も…今季の“MLB版現役ドラフト組”は豊作?<SLUGGER>

THE DIGEST

“返品”はたった1人、スイーパーを武器に名門球団で勝ちパターン入りした男も…今季の“MLB版現役ドラフト組”は豊作?<SLUGGER>(C)THE DIGEST
 昨年は細川成也(DeNA→中日)や大竹耕太郎(ソフトバンク→阪神)など、第1回現役ドラフトでチームを移った選手の活躍が話題を集めた。その原型となったのは、MLBのルール5ドラフトという制度だ。今季、アメリカでもルール5ドラフトで移籍した選手たちが存在感を発揮している。

 どんな選手が活躍しているのかという話に入る前に、まずはルール5ドラフトについて簡単に解説しておこう。現役ドラフトと同様、飼い殺しを防ぐ目的で創設されたこの制度は、MLBの公式ルールブックの第5条(ルール5)に規定されていることから、この名称で呼ばれている。

 ルール5ドラフトは、毎年12月のウィンター・ミーティング最終日に行われる。メジャーリーグ・フェイズとマイナーリーグ・フェイズの2つの区分があるが、ここでは前者に限定して説明する。
  対象となるのは、40人ロースターに入っていないマイナーリーガー。ただし、獲得には一定の制限が設けられ、18歳以下でプロ入りした選手は入団から5年、19歳以上は4年が経過していなければ指名できない。このため、毎年ルール5ドラフトが近づくと、各球団がこぞって有望な若手選手を40人ロースターに登録して流出を防ごうとする。

「飼い殺しを防ぐ」という目的においてはNPBよりもさらにシビアで、指名後にも制限が設けられる。ルール5ドラフトで選手を獲得した球団は翌年1年間、その選手をMLBの26人ロースターに登録しておかなければならないのだ(故障者リストに登録することは可能)。このため、指名するのはメジャーの戦力としてある程度計算できる選手に限られる。
  また、元の球団に“返品”することが許されているのも、ルール5ドラフトの大きな特徴だ。獲得した選手がメジャーで使えないと判断した場合、球団はその選手をウェーバーにかけ、獲得を希望する球団があればそのチームに譲渡し、そうでなければ旧所属チームに返還する仕組みとなっている。

 ところが、昨年のルール5ドラフトで指名された選手は今季ここまでほとんどが“返品”されていない。移籍情報専門サイト『MLBトレード・ルーマーズ』が「今年のルール5ドラフト指名選手は異常なほどの持続力を持っている」と驚愕しているほどだ。指名された10人のうち、これまでに元の球団に戻ったのは1人だけ。残りの9人のうち2人は故障者リストに登録されているものの、7人はメジャーで奮闘している。

 中でも印象的な活躍を見せているのが、ヤンキースからアスレティックスへ移籍したミッチ・スペンスと、レンジャーズからメッツを経てレッドソックスに移ったジャスティン・スレイテンだ。
  スペンスはカーブやスライダーを武器にロングリリーフとしてフル回転し、ここまでの5登板はいずれも回またぎ。特に4月16日のカーディナルス戦では、1点ビハインドの7回からマウンドに上がると、8回にはラーズ・ヌートバーなどから3者連続三振を奪うなど3イニングを投げ切った。

 スレイテンに至っては、スイーパーを中心に据えたピッチングでここまで計6登板で失点わずか1(防御率0.87)。3月31日のマリナーズ戦では3イニングを投げてメジャー初セーブも記録した。スタットキャスト指標でも優秀な数字を残していて、今後ますます成績が向上する可能性もある。

 サイ・ヤング賞を2度受賞したヨハン・サンタナや、10年にMVPを受賞したジョシュ・ハミルトンなど、ルール5ドラフトでの移籍をきっかけにチャンスをつかみ、球界有数のスターと成長した例も少なくない。例年以上に豊作な今季のルール5ドラフト組の中から、また新たなスターが生まれるかもしれない。

構成●SLUGGER編集部

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