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【大学野球】テーマは「1球で仕留めること」 青学大・西川史礁が神宮で結果を残せる理由

週刊ベースボールONLINE

「1位候補」に挙がるスラッガー



青学大が1対0でリードした5回裏二死二塁から左越えの2ラン。貴重な追加点となった[写真=矢野寿明]

【4月17日】東都大学リーグ戦(神宮)
青学大9-0亜大(青学大2勝)

 青学大の四番・西川史礁(4年・龍谷大平安高)が好調を維持している。チームは国学院大、亜大にそれぞれ連勝し、開幕4連勝で勝ち点2。リーグ3連覇へ向けて、白星を積み重ねている。打線を引っ張る西川は打率.500(16打数8安打、5打点)でリーグトップ。亜大2回戦(4月17日)で待望の今季1号(通算5号)が出た。

 3月には井端弘和監督が指揮する侍ジャパントップチームに招集。欧州代表との強化試合(京セラドーム)では、持ち味の打撃だけでなく、鉄壁の外野守備、積極走塁とすべての分野で高いレベルを証明。今秋のドラフト戦線においては「1位候補」に挙がっている。

 なぜ、西川は大舞台に強いのか。

 青学大の文化として根付いている自主練習の「質」にある。同校OB・小久保裕紀(ソフトバンク監督)、井口資仁(元ロッテ監督)ら先輩からの伝統が継承されている。

 青学大の部員数は選手35人の少数精鋭で、全体練習は短時間で集中力を持って行う。そして、自主練習で課題を克服していくのだ。

 人数が少ないメリットとして当然、ボールに触れる機会が多くなる。安藤寧則監督、中野真博コーチの指導も学生一人ひとりに対して、細部にまで目が届いている。

 西川は遅咲きの選手だ。2年秋までは17打数2安打、1打点と結果が出なかった。転機となったのは、2年冬である。2024年の主将である佐々木泰(4年・県岐阜商高)とパートナーを組み、全体メニュー後、自主練習に励んだ。1回3箱打ち込むのが日課。体に染み込ませ、構えとトップの位置を固めた。また、肉体改造にも着手。ウエート・トレーニングと並行して、山盛りのゴハンを2杯食べて、パワーアップを図ってきた。

 レギュラーを獲得した3年春はリーグ2位の打率.364、3本塁打、10打点で33季ぶりのリーグ優勝に貢献し、MVPを受賞。全日本大学選手権では18年ぶりの日本一を遂げた。侍ジャパン大学代表でプレーした日米大学選手権では全5試合四番を務め、16年ぶり2度目のアメリカ開催優勝へと導いた。徹底マークに遭った秋は打率.213、1本塁打、5打点と苦しんだ。とはいえ、全日本大学選手権と明治神宮大会でも各1本塁打を放って、公式戦で年間6本塁打と抜群の長打力を印象付けた。昨年の反省を下に、年間を通じて、安定感ある成績を残すため、シーズン中もトレーニングを継続。今春の躍進につなげている。

凡退した打席をあえてクローズアップ



青学大・西川は今季1号で、チームの開幕4連勝へと導いた[写真=矢野寿明]

 神宮で結果が残せる理由。やはり、練習の賜物である。亜大2回戦での5回裏に放った2ランは、初球のスライダーをたたいた。

「前の打席から変化球が多かったので、初球の真っすぐはないな、と。球種をスライダーに張りました。(今季初本塁打は)素直にうれしいです。ただ、あまり長打、本塁打は狙わないようにしている。ヒットの延長線上がホームラン。打席で決めて打っている」

 打てるボールは1打席で1球あるか、ないか。西川のテーマは「1球で仕留めること」だ。

「普段のフリー打撃から頭でイメージして、神宮の舞台で打っている自分を想像しながら練習してきたので、ここに立ったときに、普段とは違う景色には見えない。そういう意識で取り組んできました」

 この日は3安打3打点と活躍したが、7回裏無死一、三塁から遊ゴロに凡退した第4打席を、西川はあえてクローズアップしていた。

「3ボール1ストライクからの5球目の真っすぐを、ファウルにしたところは、自分の中では納得していない。そこを1球で仕留める練習をしてきたんですけど、今日は仕留め損ねた。これをプラスに変えて、まだまだ成長できると思うので、練習に励んでいきたい」

 西川はテーマを掲げて、課題を一つひとつ、つぶしていくタイプ。「まだまだ修正すべきところがたくさんある。(次のカードまで)少し空きますけど、良い準備をして入りたい」。次戦は4月29日からの駒大戦。打席では、誰も助けてくれない。西川は全神経を研ぎ澄ませた全体練習、そして自身と向き合う自主練習で、レベルアップしていく。

 青学大の2024年の目標は「大学年間タイトル4冠」。昨年は明治神宮大会決勝(対慶大)で敗退し、あと一歩で「4冠」を逃した。無念の1敗を胸に、冬場から汗を流してきた。打撃力がクローズアップされるが、安藤監督は「守りを固めて、攻撃に転じる」を目指してきた。4試合で1失点。センターラインの中心にいる西川が、攻守走でけん引する。
 
   

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