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男の終活「アダルトDVDの処分」に商機アリ。地方書店が“出版不況下でも増収増益”を続ける理由

日刊SPA!

 デジタルコンテンツが主流となり、出版業界の不況や縮小が続くなか、増収増益を続ける書店がある。北関東を中心に33店舗を展開する「利根書店」だ。同書店を運営するのは本やDVDなどの販売・買取を行っている株式会社プリマベーラ。
 利根書店の「男のDVD333円から~」という看板が示すように、アダルトDVDや成人向けのグッズ販売に強みを持っている。

 アダルトDVD以外にも、古着や貴金属、ブランドバッグ、美容ハサミなど、さまざまなリユース商品を扱う店舗も展開しているプリマベーラでは、さらに“デリケートな財産”の処分方法を提案する「男の終活」サービスの取り組みも始めている。このユニークな仕掛けはタレントの伊集院光氏が深夜ラジオで取り上げるなどひそかな話題になっている。

 今回、株式会社プリマベーラ 広報プロデューサーの亀井彬さんに、出版不況下でも快進撃を続ける理由と、男の終活サービスの誕生と反響を聞いた。

◆男性向けDVDの処分は潜在的な社会問題

 アルバイトからプリマベーラに入社し、複数の利根書店店長などを経て、2020年頃に広報部を立ち上げたという亀井さん。あるとき、社内サービスの状況を確認していたところ、宅配買取の部署で定期的に「アダルトDVDの遺品整理」に関する相談が寄せられていることに気づいたという。

 普段は人目に晒せない、隠しておきたい“もの”だからこそ、遺品整理のタイミングでその存在が近親者に見つかってしまえば、当人の尊厳に大きな影響を与えかねない。こうした終活で相談しにくいアダルトDVDの処分は、潜在的な社会問題になりうる可能性も秘めているのだ。

 相談できる相手がいない。家庭ゴミにも出せず、処分に困っている――。こうした悩みに対して、利根書店がデリケートな財産を買取し、問題解決を図っていくために始めたのが「男の終活」である。

「近年、アダルトDVDの処分需要や終活需要が上がっていて、とりわけVHSやDVD全盛の時代を過ごした60代以上の男性や配偶者、ご遺族から相談をいただくケースが増えています。こうした背景のなかで、近親者の精神的負担を減らし、さらには『男の終活』を通して買取したものを中古商品として再販し、SDGsに貢献できる仕組みが作れるように取り組んでいます」(亀井、以下同じ)

◆1万4000本のDVDが運ばれてきたことも

「男の終活」サービスでは、年間で約16万本程度の買取実績があるとのこと。今回の取材では、実際に利根書店の買取センターを特別に見せてくれた。倉庫に入ると、カーゴに収納されたアダルトDVDが所狭し並んでいた。まさに「日本一の買取本数」を標榜するだけあって、その規模感に圧倒された。

 最近ではリアル店舗での買取が減り、ネットでの買取が伸びているそうだ。ネットのほうが大量買取のニーズが高く、数百本から1000本を超える相談もざらにあるとか。「過去最大は1万4000本のアダルトDVDがネット経由で入り、4トントラックで運ばれてきたこともある」と亀井さん。

◆故人の8000本のアダルトDVDを買い取り

 そんななか、リアル店舗で対応した「ある常連客の遺品整理が印象的だった」と話す。

「そのお客様は、故人から約8000本のアダルトDVDを託され、利根書店のリアル店舗へ買取相談にいらしたのですが、『家にもかなりの量があるので取りに来てほしい』と依頼されまして。本来は出張買取はしない方針だったのですが、地元が近くて直接うかがえる範囲だったため、私含めた3人のスタッフでお客様の自宅へおじゃましました」

 親族の方に見つからないよう、迅速にアダルトDVDの回収に急いだという。

「故人が生前からその形で保管されていた靴箱のようなケースにアダルトDVDが収められており、そのおかげで商品の状態もよく、回収も迅速に行えました。買取金額は数十万円程度で、今でも印象深いエピソードだったと感じています」

◆独自システムでスムーズな買取査定

 買取依頼は日本全国から寄せられる。買取金額は基本的に発売日が新しいものが高くなるほか、人気の女優やメーカーなどは買取価格が下がりにくい設定にしているという。

「ケースなしのDVDやサイン入りのDVDも買取対象で、査定に関しては店舗マニュアルに沿った基準をもとに、POSシステムで算出された値付けを行います。同人誌やDVDのみの場合は『1本いくら』とあらかじめ決めています。マニア向けのレアなDVDが入ってきたとしても、販路がなければ売れないので、高い値段はつきません。あくまで商品の状態や相場感を鑑みての査定が原則となっています」

◆増収増益の秘訣は2つ

 さらに利根書店では、アダルトDVDのほかフェムテックグッズやアダルトグッズ、自社で開発したレトルトカレー「絶倫カレー」など、いろいろな商品を取り扱っている。出版不況下にあっても、増収増益を続けている経営の秘訣は「創業者で現取締役会長の吉川充秀氏のモットーである徹底的な仕組み化にある」と亀井さんは言う。

「『日報革命』というお客様の声や、スタッフからの改善提案、トレンド情報などを現場から毎日吸い上げる自社アプリがありまして、それをもとにサービスの改善、品揃えの拡充を行っています。意思決定のスピードを早め、時間の効率化を高めていくのを意識してきたのが、結果として成果につながっていると考えています」

 他社にはない独自性と多角化経営が、安定的な収益基盤の構築に寄与しているわけだ。これからも男の終活などに代表されるプリマベーラの独自かつユニークな仕掛けを期待したい。

<取材・文・撮影/古田島大介>



【古田島大介】
1986年生まれ。立教大卒。ビジネス、旅行、イベント、カルチャーなど興味関心の湧く分野を中心に執筆活動を行う。社会のA面B面、メジャーからアンダーまで足を運び、現場で知ることを大切にしている
 
   

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