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【週末映画コラム】世界的なスターと恋に落ちた少女の波乱の日々を描く『プリシラ』/昭和初期を思わせるようなレトロな世界観が見もの『クラユカバ』

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 その点で、プリシラと一緒にハンフリー・ボガート主演の『悪魔をやっつけろ』(53)を見て、『波止場』(54)のマーロン・ブランドやジェームズ・ディーンのようになりたいと本音を語るシーンが印象に残る。

 音楽はフランス出身のロックバンド「フェニックス」が担当。劇中で肝心のエルビスの曲をほとんど流さず、「ベイビー・アイ・ラヴ・ユー」(ラモーンズ)、『ヴィーナス』(フランキー・アバロン)、「アイ・ウィル・オールウェイズ・ラブ・ユー」(ドリー・パートン)など“別の曲”で時代や心情を表現するところは、ちょっとあまのじゃくだが面白い。

『クラユカバ』(4月12日公開)

 

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 探偵社を営む荘太郎(声:神田伯山)は、近頃世間を騒がせている集団失踪事件の捜査に乗り出す。目撃者はおらず、犯人の意図も不明。だが、その足取りには必ず不気味なわだちが現れる。

 手掛かりを求めて街の地下領域「クラガリ」へと向かった荘太郎は、くろがねの装甲列車とその指揮官タンネ(声:黒沢ともよ)と出会い、運命を大きく動かされていく。

 個人映像作家として活動してきた塚原重義監督が、初めて手掛けた長編アニメーション映画。集団失踪事件の謎を追って地下世界「クラガリ」に足を踏み入れた私立探偵の活躍を昭和初期を思わせるようなレトロな世界観で描いている。

 レトロな雰囲気の中で探偵が謎を追うという点では江戸川乱歩の世界を、地下鉄の描写などから『帝都大戦』(89)を思い出した。

 そんな本作は、「いま最もチケットが取れない演者」といわれる講釈師の六代目・神田伯山が声優に挑戦したことでも注目される。

(田中雄二)

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