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一橋大学を卒業した25歳女性が、“新卒でスナックのママ”になったワケ。客として訪れた店で“出会い”が

日刊SPA!

 人もまばらでほの暗い路地裏に、ひときわ鈍く光る看板がある。店内は見えなくとも扉の向こうで誰かが熱唱しているのがわかる。そんな“夜の社交場”スナックが、コロナ禍で急減したかと思いきや、今、世代を拡大して賑わいを取り戻している。現場を訪ねてみた。
◆一橋卒の25歳がママになるまで

 ここ数年、コロナ禍の影響やママの高齢化でスナックの廃業が相次いでいる。そんな業界で“世代交代の成功例”として、東京国立市の谷保駅近くにある「スナック水中」が注目を浴びている。

 ママは現在25歳の坂根千里さん。一橋大学社会学部出身の新卒ママだ。

◆“新卒ママ”とスナックの出会い

 坂根さんがスナックと出合ったのは20歳のとき。知人に連れられ、客として訪れた「すなっく・せつこ」だった。

「衝撃でしたね。初対面のお客さんがいきなり会話に割り込んできたり、デュエットを誘ってきたり。離婚話を替え歌にして歌っている人もいました。これまで経験したことがない空間に驚きもしたけど、一気に人との距離が縮まる体験に、なんだか心も軽くなる。最高だなって思えたんです」

◆引退するママから「店を受け継いでほしい」

 戸惑いつつも場に溶け込む坂根さんに興味を示すママから、その日のうちに「せつこ」でのアルバイトに誘われた。

「まさか初めて入ったスナックで働くことになるとは思いもしませんでした。お店に立つと本当にいろんな人に出会います。でも皆さん品のいい方ばかりで、せつこママにも守られ、イヤな思いはあまりしませんでした」

 1年後、坂根さんは高齢のため引退するママから「店を受け継いでほしい」と相談された。葛藤の末、「自分が救われた大切な場所を残したい」とバトンを受け継ぐことに。

◆改装し、2年で売り上げは1.6倍に

 ’22年4月、昔ながらの「すなっく・せつこ」を改装し、「スナック水中」をオープン。

 坂根さんは「半地下に沈み、場に漂い、明日へ向かって再浮上する」という思いを込め「スナック水中」と名づけた。

「女性ひとりでも入りやすいように、店内の様子が見えるガラス扉にしました。焼酎水割りしかなかったメニューは、地元国立のクラフトビールやジンを取り揃え、スタッフには男性も採用しています」

「スナック水中」はバーのような瀟洒な店内で若い世代も入りやすい。ママを中心に常連客も新規客も会話が弾む。

「すなっく・せつこ」時代からの常連客に加え、若い世代を含む新規客を取り込み、開店から2年で売り上げは1.6倍に。そしてSNSを中心とした応募で10人のスタッフを抱える。

「昨年11月から私は産休に入り、今は裏方に回っています。新しいママやスタッフを見守りながら、新店舗オープンを準備したい。ただスナックはファンビジネスの側面もあり、承継しても、ママについていたファンが離れてしまうので難しい。ママをしたい人の確保も大変です。そこで一つの店に2交代制などの体制も考えています」

 世代交代はスナックに新たな風を吹き込んでいく。

取材・文/週刊SPA!編集部 撮影/杉原洋平 写真提供/スナック横丁

―[復活![スナック快進撃]の現場]―

 
   

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