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サプリ全般の危険性について注意喚起、仏メディア 紅麹問題

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 小林製薬の「紅麹」問題はフランスでも早い時期に報道された。フランスでも「天然」の成分でできた栄養補助食品を好む人が多いため、その潜在的危険性を正しく理解するよう警鐘を鳴らした形だ。

◆紅麹のスタチンと同等の効用
 欧州においても紅麹の摂取により血液中のコレステロールの減少が期待できることは知られている。欧州食品安全機関(EFSA)は2012年、ある一定の条件下での紅酵母由来のモナコリンK(ロバスタチン)摂取は、「正常なLDLコレステロール値の維持に貢献する」と認めた。その効果は、通常コレステロールを下げるために用いられる医薬品スタチンとほぼ同等だ。これは、モナコリンKがスタチンの仲間であることを考えれば不思議なことではない。

◆スイスでは禁止
 一方でDFSAの努力にもかかわらず、モナコリンKの安全な摂取量は確立されていない。またモナコリンKと同じ成分のロバスタチンには、多くの副作用の可能性があり、ほかの薬剤との相互作用の可能性も高い。スイスでは、副作用のなかでも特に肝臓や筋骨格系に損傷を与える可能性を重く見て、薬品としても食品としても紅麹を成分とする製品の売買を違法としている。

 さらに、紅麹は、用いる株や生産状況によって、有毒物質であるシトリニンを生産することも広く指摘されている。

◆フランス食品安全庁は2014年に勧告
 フランス食品環境労働衛生安全庁(ANSES)は、フランスにおける紅麹栄養補助食品の副作用についての調査を2014年に発表し、2009年以降確認された30件の副作用を分析した。またイタリアの保健当局も重篤な例を含む38件の副作用例を報告している。

 これらの調査結果を受け、ANSESは2014年にすべての消費者に対し「紅麹」をベースにした製品を摂取するときは、事前に医者に相談するよう勧告を出した。

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◆手に入りやすい栄養補助食品
 今回の小林製薬の問題を受けて、フランスメディアは「サプリには本当に注意が必要」などと報じた。フランスでも栄養補助食品に関する規制は医薬品と比べずっと緩く、ネットや薬局で簡単に入手できるという背景があるからだ。

 ル・ポワン誌は2023年の時点で、紅麹のリスクを取り上げ、医薬品よりも天然由来の成分である健康補助食品を選ぶ人がいることに注意を喚起している。

 実際、医師の処方による医薬品であれば、ほかの薬剤との相互作用などもコントロールできるが、栄養補助食品はそうはいかない。紅麹のように薬品とほぼ同じ成分を含む栄養補助食品の場合は過剰摂取にも注意が必要だが、素人には判断が難しい。

 さらに、サプリに含まれるほかの成分については、十分に研究されていない可能性がある。つまり、確かに体に良いものが入っているにしても、もしかしたら悪影響を与えるものも入っているかもしれない。その点少なくとも「医薬品は、(サプリよりも)効能も副作用もより明らかだ」とル・ポワン誌は記す。

 もちろん、すべてのサプリが危険なわけではないが、天然由来のものは無条件に身体に良いという間違った思い込みには気をつけなければならないだろう。

◆成長し続ける栄養補助食品市場
 現在、栄養補助食品市場は世界的に拡大傾向にある。SDKI社が3月末に発表した調査レポートによれば、2023年の市場規模は約1615億ドル(約25兆円)を記録。2036年までに約3784億ドル(約57兆円)に達すると予測されている。

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