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若き柴田恭兵と能瀬慶子のカップルが体当たりで演じた昭和の名作「赤い嵐」

HOMINIS

TBSが大映テレビと共同で制作し、1970~80年代に大ヒットしたドラマが「赤いシリーズ」だ。当時のトップアイドルだった山口百恵が主演する作品が中心だったが、第8弾として1979年~1980年に放送された「赤い嵐」には百恵は出演していない。

「赤い嵐」に出演した柴田恭兵と能瀬慶子

同作は柴田恭兵が初めて主演したドラマで、警視庁上野北警察署に勤務する警察官・大野真を演じている。大野家は東京・谷中で豆腐店を営み、店主で父親の兵吉(松村達夫)、母・千代(淡島千景)、ほかに2人の兄がいた。ある日、真は上野の不忍池で血まみれの娘(能瀬慶子)を発見した。彼女は記憶を失っており、自分の名前さえわからない。不憫に思った真は、不忍池にちなんで「小池しのぶ」と仮の名を彼女に与え、実家の大野豆腐店に住み込ませることにした。健気に働く「しのぶ」の姿に真は次第に魅かれていくが、しのぶの周辺に謎の男・山根(緒形拳)が現れる。じつは山根の正体は長野県警の刑事。彼は地元で起きた画家・田上洋平(藤木孝)が殺された事件の犯人を追って東京にきたのだった。山根によれば、しのぶの本名は、「田上雪子」で、殺された田上洋平の娘だという。事件直後に失踪していたしのぶこそが真犯人だと確信する山根はしつこく彼女を追いまわす。しのぶの無実を信じる真は、しのぶと共に真犯人を捜す旅に出る…。という物語だ。

本作の魅力は、ホリプロスカウトキャラバンで優勝し、前年に芸能界デビューした能瀬慶子の初々しさと、本格的な主演作はこれが初となる柴田恭兵の力強さに尽きる。本格的な演技の経験に乏しかったこともあるが、能瀬が演じる「しのぶ」役は過去に秘密を持つ記憶喪失の少女という難しい役どころ。純朴で清楚な人柄だが、時々過去の記憶が蘇ると「うるせぇ、ババァ!」などと荒っぽい口調に人格が一変。過去の自分の姿に怯える姿が特徴的で、後年にも芸人などに物まねされることが多かった。

相手役の柴田恭兵も素晴らしく、画面いっぱいに広がる彼の凛々しさと爽やかさは現代のイケメン俳優を凌駕するものがある。本作のテーマは、「人間が愛を持っている限り、愛のために徹底的に生きる限り、決して不幸にはならない」という重厚なもの。哀れな娘に愛を感じる男と、心優しい青年に愛情を覚える女。そんな彼女の過去の秘密が暴かれた時に、2人の愛はどうなってしまうのか…。娘の正体に不安を抱きながらも、記憶を取り戻すために必死の努力を続ける真。大映テレビお得意の「記憶喪失」を核として、ミステリアスな悲しみと恐怖にあふれた愛の物語が展開する「赤い嵐」。純愛サスペンスの極致ともいうべき本作は、紛れもない昭和を代表する名作ドラマのひとつである。
ちなみに能瀬慶子は、歌手としても「アテンション・プリーズ」などシングル4作をリリースしているが、同曲をはじめアルバムに5曲を提供しているのが、今や大物アーティストとなった浜田省吾である。当時は浜田がホリプロに所属していたため、同事務所の歌手に楽曲提供したことがあった。「アテンション・プリーズ」は、おそらく浜田が他人に提供した楽曲としては最も有名で、「浜省節」が全開の名曲としてファンの間でよく知られている。

本作での能瀬慶子は、記憶を取り戻す過程で派手な衣装とかつらを身にまとい、夜の街で働く場面など、まさに体当たりで演じている。過剰なモノマネでネタにされたこともあったが、大いに見る価値のある作品であることは疑いない。劇中で何度も語られる「俺たちの合言葉は、勇気と前進!」という、真の力強い決め台詞は、きっと現代の視聴者にも力強いメッセージとなるだろう。

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文=渡辺敏樹

放送情報【スカパー!】

赤い嵐
放送日時:4月15日(月)18:00~
放送チャンネル:TBSチャンネル2 名作ドラマ・スポーツ・アニメ
※放送スケジュールは変更になる場合があります

最新の放送情報はスカパー!公式サイトへ

 
   

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