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sajou no hana、新章スタート!Crestワンマンは完売、会場中を熱狂の渦へ

DI:GA ONLINE

sajou no hana ONE MAN LIVE 『Red』
2024年3月17日(日)Spotify O-Crest

sajou no hanaによる約5年ぶり2度目であり、新体制初のワンマンライブ「Red」。待望の開催ともありチケットも早々にソールドアウトし、当日は多くの観客で賑わった。

sana(Vo)の当日のMCによるとこのライブでは「sajou no hanaの名刺代わりとなる内容を目指した」とのことで、セットリストはデビュー曲から最新曲までを網羅したベストアルバム的なラインナップ。サポートバンドメンバーは前体制時から引き続き参加の佐藤 丞(Dr/PENs、fulusu)と佐々木侑太(Gt)に加え、キタニタツヤと渡辺翔のポジションをそれぞれ齋藤祥秀(Ba)と大中美穂(Key)が担う。齋藤はキタニのバックバンドのベーシストも務めており、楽曲への理解度が高いメンバーによるグルーヴはsanaのボーカルの魅力も十二分に引き出した。

1曲目の「天灯」を皮切りに、「99.9」「メモセピア」「青嵐のあとで」とタイアップソングを立て続けに披露する。そのサウンドスケープやパフォーマンスはアグレッシブでありながらも隅々まで優雅だ。芯のある可憐な歌声を響かせるsanaは、所作の一つひとつも美しい。会場を鮮やかかつ大胆に、楽曲の世界に染め上げた。まさに“Red”を体現するステージである。

sanaが「みんなとこの場所から始まりの一歩を踏み出せることが本当にうれしいです。皆さんの心の中にある熱い“Red”を燃やす準備はできてますか? 絶対に忘れられない夜にします!」とすがすがしい笑顔で告げ「メーテルリンク」へ。アウトロではバンドメンバー紹介とソロ回しを投入し、その後も憂いのあるボーカルで圧倒する「Parole」、艶やかな激情が聴き手の感情をもかき回す「影裏」と畳みかける。序盤から7曲連続でアッパーな楽曲が続くが、sanaはそれを物ともしない様子だ。彼女のこの日に懸ける喜びと気合いの大きさを噛み締める。

ライブ中盤はミドルナンバーやバラードのセクションへと入る。歌詞に込められた心情を優しくすくい上げるように「切り傷」を歌い上げると、これまでにライブで披露する機会が少なかった楽曲をメドレー形式のアコースティックセットで届けた。「Ruler」と「夢の中のぼくらは」はピアノと、「極夜」と「繭色」はアコースティックギターとともに細やかなタッチで情景を描く。ピアノとギターのつなぎもシームレスで、夜明けのグラデーションのように幻想的だ。

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より歌にスポットが当たったアレンジは、sanaが音楽に対して真摯に向き合うボーカリストであることをあらためて強く印象付けた。ロックナンバーではフロアをまっすぐ見つめ、たくましくしなやかな歌唱で我々を曲の世界へと連れ出し、ミドルナンバーやバラードでは曲に身を埋めて一体となり歌を響かせる。楽器の音色とともに声色を変化させる様子にも、楽曲や歌そのものへの愛情、一緒に音を鳴らすメンバーへのリスペクトが溢れていた。彼女の楽曲への深い理解度と音楽や歌へのピュアな感動は、今後さらにsajou no hanaの根幹として育っていくのではないだろうか。そんな予感に胸が躍った。

バンドメンバーのインストセクションからそのまま「グレイ」に入ると、衣装チェンジをしたsanaが登場。心地好いリズムに乗せて夕焼けのように柔らかくセンチメンタルな歌声を響かせる。スタイリッシュな緊迫感で魅せる「Hypnosis」の後、晴れやかなロックナンバー「ここにいたい」で会場を包み込み「Evergreen」へとつなげる展開は、物語がクライマックスへと駆け上がるような高揚感に満ちていた。

sanaは昔の自分は引っ込み思案で、ライブも楽しむ気持ちより不安が大きかったと振り返る。だがコロナ禍に入りライブが制限された際、観客の笑顔や声で溢れるライブという場が恋しくなり、同時にコロナ禍でリリースした楽曲が直に聴いてもらえないまま忘れ去られてしまう恐怖も生まれたと明かした。そしてサポートメンバーとスタッフに支えられ、この日に向けてリハーサルを重ねるなかで、どんなにリリースしてから月日が経った楽曲でも歌うたびに新鮮な発見と感動があること、何度だって楽曲に命を吹き込めることに気付いたと目を輝かせる。さらに「新体制になったので、わたしはちゃんと覚悟を決めなきゃいけない。2024年は本気でライブをやっていこうと思っています」と意気込みを見せた。

「ニューサンス」では地声とファルセット、高音と低音をなめらかに行き来するボーカルでフロアを揺らし、初期曲「あめにながす」ではダイナミックな歌声で楽曲の新たな魅力を引き出す。本編ラストの「修羅に堕として」はこの日いちばんの凛々しさに富んだパフォーマンスだった。激しい音像の中で笑顔を見せる彼女の姿は、曲に描かれた「最強」をナチュラルに体現していた。

アンコールでsanaはあらためてサポートメンバーを1人ずつ紹介し、sajou no hanaにとって初となるツアーを今年9月に開催することを発表。フロアの至るところから歓喜の声が沸き、彼女も「みんなとまた会えることを期待して待っています!」と呼びかけた。

観客のシンガロングに包まれながら「いきるひとびと」を歌い上げると、ステージにひとり残ったsanaはあらためて挨拶をする。「今日までたくさんの不安があって、このステージにどんな心持ちで立とうかすごく悩んでいたんですけど、(実際に当日を迎えると)みんなの笑顔を見られただけでなく、みんながsajou no hanaの楽曲を愛してくれていることも伝わってきて。これからももっとこの大切な楽曲たちを大きな世界に連れて行きたいと思いました」と告げ、最後に「みんなに感謝の気持ちを込めて」とsajou no hanaのデビュー曲「星絵」をマイクを通さずアカペラでワンコーラス歌唱した。メロディ、歌詞、そしてsajou no hanaのメンバーとして活動してきた人生を抱きしめるように紡ぐ歌声に、会場一帯が酔いしれる。新章の幕開けを飾るに相応しいエンドロールだった。

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