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「Normandie 印象派 2024」

marie claire

いよいよパリオリンピック・パラリンピックが今年の7月26日から8月11日まで開催されます。パリの街は、先日コレクション取材で訪れた時は、市内各所で準備のための工事が進められていて渋滞がひどく、車での移動は難しく、もっぱら地下鉄を利用していました。

パリは普通の時でも、世界No.1の観光都市なのですが、訪れる観光客は2023年では3700万~3800万人と推定され、コロナ禍前の水準(3900万人)に戻るような数字だったそうです。しかし、日本、中国、韓国からの観光客はその水準に戻っていないとのこと(パリ市国際観光局)。オリンピックイヤーの今年は、果たしてどうなるのか? 多分、オーバーツーリズムになってしまうだろうと推測されています。それを予測して、パリ市内の美術館などは、オリンピック期間中を含めクローズされることが決まったようです(ルーブル美術館とオルセー美術館は、開会式の7月26日からクローズされる。他の美術館は未定)。パリ市観光の大きな魅力の一つである美術館巡りができなくなるのは残念ですが、こんな試みが企画されています。今月はそのお話を。

先日、「GIP ノルマンディ印象派(GIP Normandie Impressionniste)」という官営組織のディレクターを務めている方とお会いしました。

フランス・ノルマンディ地方では今年3月22日から印象派生誕150周年を記念し、9月22日まで半年間、「Normandie Impressionniste2024」と題し、ノルマンディ地方の各地の公共施設や美術館を使ってフェスティバルを催すということです。もちろん印象派の誕生150年を祝うイベントですが、パリで美術館巡りができなくなるため、ノルマンディ地方の各地で、人気の高い印象派の展示をして少しでも観光客を満足させようという意図です。

「Normandie印象派2024」

ノルマンディ地方はイギリス海峡に臨むフランス北西部の地方のこと。第二次世界大戦の転機となったノルマンディ上陸作戦でも有名です。満潮の時は海に浮かぶお城の姿を見せるモン・サン・ミッシェルをはじめ、オンフルール、ル・アーヴル、カン、ルーアン、ドーヴィル、シェルブールなどの街も含まれ、観光地や避暑地としても有名な場所が数多くあります。私もこれまで何回か足を運んでいて、その魅力のとりこになってしまった一人です。

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印象派を代表する画家クロード・モネの作品「印象・日の出」は印象派の名前の由来になった作品ですが、モネはこの作品をル・アーヴルで描いています。またル・アーヴルのアンドレ・マルロー近代美術館は印象派の作品を中心に展示していて、パリのオルセー美術館に次ぐフランスで2番目のコレクション規模です。

クロード・モネが描いた英仏海峡に面した街エトルタの白くそそり立つ石灰岩の断崖。
Claude Monet(1840-1926), Les Petites Dalles, 1884. Huile sur toile, 60 × 73
© Museum Barberini, collection Hasso Plattner

このフェスティバルではモネをはじめとする印象派の代表作だけでなく「歴史やヘリテージ」を紹介、展示作品の50%は歴史的作品を展示しますが、残りの50%は印象派から影響を受けている現代美術も展示する予定だそうです。なお現代美術作家の50%は女性で、その中には日本の作家3名が含まれています。

またこのフェスティバルに合わせ、ノルマンディ地方のガストロノミーのイベントも開催される予定だと言います。

フランスはもともと農業大国でもあり、またフランス料理は2010年「食の伝統」としてユネスコの無形文化遺産に登録されています。ノルマンディ地方は湿気が多く、牧草が豊富に育つので放牧に適し、乳製品の生産が盛んで、バターやカマンベールをはじめとする美味しいチーズが大量に生産されています。英仏海峡では魚のほかに甲殻類も豊富にとれ、またノルマンディ地方では牡蠣は1年中よく食べられます。

印象派を見た後、ノルマンディ地方のリンゴから作られるシードルやカルバドスを飲みながら、現地の食材から作られた料理を楽しむという、エスプリの利いた旅を今年は体験するというのはいかがでしょう?

2024年1月25日

 
   

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