これに対して馬場は16文キック、河津落とし、バックドロップ、ランニング・ネックブリーカーなど大技をフル回転させて反撃したが、天龍とハンセンの龍艦砲は容赦しなかった。
馬場を合体ブレーンバスター、合体パワーボムで叩きつけ、最後は天龍が馬場の209センチ、135キロの巨体をパワーボム! 馬場が日本人選手にフォールを奪われるという歴史的な瞬間だった。
後年、天龍はこの偉業をこう語っている。
「馬場さんの体が真っ逆さまになって頭から落ちて、自分の体重がかかっていただろうけど。今でも〝馬場さんは必死になれば返せたんじゃないか?〟っていう疑問があるよ。〝UWFから少しでも新聞の紙面を奪ってやろう〟という経営者の馬場さんがいたかも」
あの場面で3カウントを聞くことが、馬場の純プロレスに生きる者としての矜持だったのかもしれない。
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小佐野景浩(おさの・かげひろ)元「週刊ゴング編集長」として数多くの団体・選手を取材・執筆。テレビなどコメンテーターとしても活躍。著書に「プロレス秘史」(徳間書店)がある。