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朝ドラ『ブギウギ』スズ子の移籍騒動が終息 歌手としての生き方を決定づけた羽鳥の名言

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『ブギウギ』写真提供=NHK

 『ブギウギ』(NHK総合)第34話が11月16日に放送された。松永(新納慎也)が引き起こしたスズ子(趣里)の移籍騒動は、松永が1人で日宝に移り、梅丸にスズ子が残留することで決着した。

 参考:【写真】真剣な眼差しでスズ子(趣里)を見つめる羽鳥(草彅剛)

 義理と人情、そこに恋愛が絡んで、もつれた糸でがんじがらめになったスズ子。恋心を寄せる松永にはアメリカに残してきたパートナーがいて、そのことがなければ、スズ子は松永の方によろめいたかもしれない。ツヤ(水川あさみ)の病状を伝える六郎(黒崎煌代)の手紙も、日宝への移籍を後押しした。最終的に梅丸に残ると決めたのは、羽鳥(草彅剛)の存在が大きかった。不義理をはたらいた自分は歌う資格がないとこぼすスズ子に、羽鳥は言う。

「これからもきっと人生はいろいろある。まだまだこんなもんじゃない。うれしいことも辛いこともたくさんあるよ。だからうれしいときは気持ちよく歌って、辛いときはやけのやんぱちで歌う。福来君だけじゃない。僕だって、藤村ちゃんだって、きっと茨田君だってそうだ。僕たちはそうやって生きていくんだよ」

 歌えないと思ったら、歌えないという気持ちを歌に込めればいい。その思いが人の心を打つのだと、自ら曲を書き演奏する表現者である羽鳥は語っているようで、スズ子の歌手としての生き方を決定づける言葉だった。スズ子が梅丸に残ると決めたのは、羽鳥が生み出す音楽との相性もあるが、それ以上に音楽への向き合い方に共鳴したのではないか。人生の浮き沈みとその時々の喜怒哀楽を素直に奏でること。それをわかっている羽鳥のもとで才能を伸ばすことが、自分らしくいられる道だとスズ子は感じたに違いない。

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 羽鳥がスズ子を引き留めたのは、自分がやりたい音楽にスズ子が不可欠だからだ。言ってみれば、とても自分勝手な理由である。藤村(宮本亞門)を連れて自宅に押しかけたのは、できたばかりの曲を聴かせたい、そうすればきっとスズ子も考えを改めてくれるはずという羽鳥なりの必死の努力である。めちゃくちゃ良いことを言った後に、やけになって「日宝でもどこでも飛んで行ってくれ!」と捨て台詞を吐き、スズ子のファンを宣言して去った羽鳥には、自分のやりたいことに突き進むすがすがしさがあった。

 藤村がアカペラで歌った「センチメンタル・ダイナ」は、若い娘のありのままの心情を客観的に描写したもので、スズ子と秋山(伊原六花)の今の気持ちそのものだった。別れに甘いチョコレートの余韻はなくて、スズ子と松永は互いの幸運を願いながらそれぞれの道を歩む。

 秋山は中山(小栗基裕)のプロポーズを断った。「ウチは自分が一番輝ける生き方をしたいんです」と言って別れを告げた。ほとんど感情を見せなかった中山は、顔面蒼白になって崩れ落ちる。東京編から登場した小栗基裕は、ダンスパフォーマンスグループ「s**t kingz(シットキングス)」のメンバーである。稽古場での練習風景から日常の所作や台詞回しを含む一連の出演シーンは、リズムに乗って見せ方を意図した一つのダンスであり、同時に演技にもなっていた。ネット上で交わされた“ヤバ山”の呼称も相まって、強烈なキャラクターで本作に爪痕を残した。

(文=石河コウヘイ)

 
   

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