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坂田聡、隈本晃俊、ふせえり、利重剛 『ブギウギ』スズ子の世界を広げる東京キャストたち

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『ブギウギ』写真提供=NHK

 スズ子(趣里)が稽古初日にはワンフレーズしか歌うことができず、どうなることかと思った梅丸楽劇団(UGD)の旗揚げ公演も大盛況でほっと一安心の『ブギウギ』(NHK総合)。羽鳥(草彅剛)ののらりくらりとしつつも厳しい指導を受けたスズ子と、男性との体力差がある中で必死にダンス稽古に励んだ秋山(伊原六花)はずっとヘトヘトだっただろう。そんなふたりを支えてくれたのが、東京の地で出会った人々だ。

参考:『ブギウギ』スズ子のライバルとなるりつ子が本格登場 中山&秋山は微妙な“主従関係”に

 小村吾郎(隈本晃俊)、チズ(ふせえり)夫妻が営み、スズ子と秋山が暮らしている下宿屋はいつでも賑やかだった。チズは「私は大阪に行ったことないけどね!」と言っているが大阪人さながらのマシンガントークを繰り広げ、そこには誰も口を挟むことはできない。それに影響されてなのか吾郎は、だいたい一言でしゃべるか「うん」しか言わない極端に無口で寡黙な男性。ただ、その「うん」のイントネーションで今、どんな気持ちなのかが分かってしまうようなかわいらしいところもある。

 ある夜、スズ子と秋山にも稽古以外の「楽しいこと」があったほうがいいのではないかという話が、いつの間にか吾郎とチズが付き合っていた頃の話に発展する。チズのちょっと刺激的な話に面を食らった表情になったスズ子と秋山だったが、2人はそれ以降、なんとなく恋愛を意識するようになる。

 スズ子と秋山が2人で話したい時は、下宿屋の近所にある屋台のおでん屋に行くことが多くなった。そこの主人・伝蔵(坂田聡)は最初は、おでんの具や出汁の色の違いに戸惑いを見せるスズ子たちに「食いたくなきゃ返せ」と機嫌の悪い様子を見せていた。それについついビクついてしまう秋山と平然しているスズ子。細かいところにふたりの性格の違いが垣間見えるのもまたおもしろい。伝蔵は「大阪弁は嫌い」「浮ついた話は嫌い」と、「嫌いなこと」が多いようだが、それにも遠慮せずに方言を直さず、恋愛の話をどんどんするようになったスズ子たちのことは気に入っているよう。ふたりだけで話していれば沈んでしまいそうな話も伝蔵がいればいいツッコミを返してくれて、笑いに変わっている。

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 初めて食べる文化の違いがはっきりと出た料理、初めて出会う大阪とは違う、口の悪い下町の江戸っ子。そして「違いも分かんねえくせに」と言いつつ出してくれたお酒。思えば伝蔵は、スズ子たちがいろいろな「初めて」を踏み出す手助けをしてくれている。その甲斐もあってか、ふたりはたくましく成長し、今やすっかり人気者となった。

 この3人の特徴は、スズ子と秋山を「普通のお嬢さん」として扱っていることだ。伝蔵は旗揚げ公演のことが描かれた新聞記事を見て初めていつもきてくれるふたりが有名人だということを知った。だがその後も変に特別扱いをせず、いつものように「浮ついた話をするな」と言いつつ、ふたりが恋愛に悩んでいるのを静観し、たまに自分の過去話をポロッとこぼしてしまっている。スズ子が憧れだったりつ子(菊地凛子)がとてつもなく嫌なやつだったことを吾郎たちと食卓を囲みながら愚痴っていると、チズが「(自分は)売れていると思っているのかい?」とチクリ。真面目とも冗談とも言えないその言い方に、スズ子も「ちょっとは……売れて……ますよね?」とおっかなびっくりで返していた。こんな人たちに囲まれているのだ。スズ子が売れて天狗になることはなさそうだ。

 「ラッパと娘」を披露してから1年。羽鳥に認められたスズ子の環境は変わりつつある。善一から、スズ子のために新曲の歌詞を書いてくれるのだと紹介された藤村薫(宮本亞門)はスズ子に突然「恋人はいるのか?」と聞いてくるし、なんと梅丸のライバル会社・日宝の社長、大林林太郎(利重剛)がスズ子に接触をはかってくる。クセの強い人たちの中でどんどん揉まれていくスズ子だが、負けることなく、いつまでも元気ではつらつと輝いていてほしいものである。
(文=久保田ひかる)

 
   

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