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朝ドラ『ブギウギ』になぜ世界的な演出家が? 宮本亞門が担う特別で重要な役どころ

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『ブギウギ』写真提供=NHK

 新たな仲間たちとともに、「梅丸楽劇団(UGD)」の旗揚げ公演を見事に成功させたヒロイン・スズ子(趣里)。第6週のクライマックスに用意されていた踊りと歌は圧巻だった。「梅丸少女歌劇団(USK)」のレビューも素晴らしかったが、あれとはまったく異なるダイナミックなパフォーマンスに多くの視聴者が見惚れたことだろう。そんな朝ドラ『ブギウギ』(NHK総合)である。

参考:『ブギウギ』趣里が向き合い続けた和製ジャズの名曲「ラッパと娘」 鍵となった自我の解放

 スズ子の東京での生活はまだはじまったばかりで、これからさらに新キャラクターが登場する。宮本亞門が演じる藤村薫もそのうちのひとりだ。

 この藤村という男は作詞家である。それも、番組公式サイトの人物紹介ページには「破天荒な天才作詞家」とある。

 スズ子が住む下宿の女将・小村チズ(ふせえり)や屋台の店主・伝蔵(坂田聡)、外国帰りの演出家・松永大星(新納慎也)、UGDの制作部長・辛島一平(安井順平)、ダンサー・中山史郎(小栗基裕)、そして作曲家・羽鳥善一(草彅剛)と、すでに個性的なクセのあるキャラクターばかりの「東京編」。スズ子が藤村の破天荒ぶりにどのように翻弄され、それをどう乗り越えていくのかが注目ポイントだろう。

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 そもそも、『ブギウギ』のキャスト発表時に宮本の名前があったことに驚いた。彼の肩書きは「演出家」だからである。朝ドラはもちろんのこと、ドラマに出演するのはこれが初めてだ。

 ストレートプレイにミュージカル、オペラ、能、歌舞伎、和太鼓のショーなど、あらゆるパフォーミング・アーツの演出を国内外で手がけてきた宮本。日本固有のカルチャーも、彼の手にかかれば世界の共通言語になる。世界中でその名を知られる日本の演出家のひとりだ。

 演出家が他者の作品に出演するのは、別に珍しいわけではない。俳優としてキャリアをスタートさせた故・蜷川幸雄は後年は演出家に専念していたとはいえかなりの出演作があるし、NHK大河ドラマ『鎌倉殿の13人』(2022年)の脚本を手がけた三谷幸喜は、同じくNHK大河ドラマである『功名が辻』(2006年)や『いだてん~東京オリムピック噺~』(2019年)などに出演している。

 80年代の“小劇場ブーム”を牽引した鴻上尚史は『THE NEXT GENERATION -パトレイバー-』(2014年)などの出演作があり、「阿佐ヶ谷スパイダース」の主宰でKAAT神奈川芸術劇場の芸術監督を務める長塚圭史は、故・大林宣彦監督の『花筐/HANAGATAMI』(2017年)や『海辺の映画館―キネマの玉手箱』(2020年)などに出演。誰もが各作品における重要な、あるいは特別な役どころを担っている。

 そう、つまりは肩書きが「演出家」である彼らが俳優として何かの作品に出演するのには、それ相応の理由があるわけだ。それは宮本ももちろん同じだ。

 本作の公式ガイド『連続テレビ小説 ブギウギ Part1』(NHK出版)において彼は、「演出家になってから、演じることは極力避けてきました」と自身のスタンスを示したうえで、「でも僕は、国民に明るさと元気を届けた笠置シヅ子さんの大ファンなので、番組の応援団としてカメラの前に立ちました。初めて尽くしの経験は、吐きそうなくらい緊張し、この先演技指導は出来なくなるかもと硬直してしまいましたが、周りの皆さんのおかげでリラックスできました」と述べている。やはり彼の『ブギウギ』への出演には、特別な理由があったわけだ。

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