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『らんまん』伊礼彼方が明かす“ヤバ藤”反響の喜びと役作り 「初めて本当の恋をした設定に」

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――伊礼さんは高藤の魅力はどんなところにあると思いますか?

伊礼:僕は悪役とか三角関係の恋敵をよくやるんですけど、そっちの方がヒーローよりも好きなんです。悪いやつには悪いやつなりの正義があるんですよね。そこが詰まっていないとただの薄っぺらい悪役になってしまうので、嫌われたとしても、彼は彼なりの正義でどうしても譲れないものがあり、だからその選択に至ったという。高藤も恋敵ではあるんですけど、僕としては高藤が初めて本当の恋をした設定にしているんです。この時代って妾が当たり前だったと思うんですけど、それを当たり前にしちゃうとただそれだけの人になって、恋敵としてのレベルが低くなってしまって、『らんまん』の物語が進展していかないんじゃないかっていうのがあるんです。一つのスパイスを与えるのには、高藤は高藤でしっかり自分の正義を持っていないと。

――主人公・万太郎役の神木隆之介さんは、伊礼さんから見てどのような存在ですか?

伊礼:僕はこう見えてシャイで、自分から話しかけるのがあまり得意ではないんですけど、神木さんは、リハの時にスッと話しかけてくれたんです。「伊礼さん、いい声されてますね!」「嬉しいな! ありがとうございます!」って。万太郎が寿恵子さんのドレス姿を見て、高藤の書斎に連れていくシーンで彼は「綺麗じゃ!」を連発していますけど、彼には彼なりの万太郎のキャラクターがあって、言われた通りにするのではなく、自分で万太郎を作り上げていって、こういうふうに見せれば万太郎は魅力的だっていうのを客観視しているように感じたんですよね。それに対して浜辺さんも「分かりました。好きにやってください」というような感じだったから、関係性が出来上がってるんだというのが発見で、遊び心がある方だなと思いました。天真爛漫で、だから『らんまん』なのかと繋げたり、ということは高藤はこの逆を行かなきゃいけないなっていうのはありました。舞台もそうですけど、自分の頭の中では発見できないことってたくさんあって、初めて共演者の声だったり、存在を感じた時に、ようやく自分のキャラクター設定の方向性を理解することはあるので、もしクランクインの前に神木さんに会っていなかったら、高藤は台本上での真っ直ぐなガツガツした男にはなってはいたんでしょうけれども、またちょっと違ったかもしれませんね。神木さんと会って、お話できたのは大きかったと思います。

●伊礼彼方が好きな高藤のセリフは?

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――浜辺美波さん演じる寿恵子とダンスをするシーンがありましたが、ミュージカル俳優として何か感じるものはありましたか?

伊礼:ダンスは1月から稽古が始まりまして。ミュージカル俳優同士っていうのはダンスも歌も「はじめまして」でいきなり触れ合ったり、スキンシップがあるので、みんなオープンマインドなんですけど、お芝居畑の方とやるとそこでみなさん躊躇するんです。だから、浜辺さんも最初はシャイな方だなという印象があって、僕もどう接していいのかなと距離を測りながらやっていました。でも、シャイというよりダンスが苦手という意識があったみたいで、蓋を開けたらものすごく喋る方でびっくりしました。最終的には、「高藤ってガンガン来ますよね! 本当に“ヤバ藤”ですよね!」みたいなことを言われたので、かわいらしいオープンな方だったんだなっていうのは後々分かったんですけども(笑)。ダンスシーンは、舞台をやってたからこその地に足がついた表現ができたと思いますし、僕は普段から貴族だったり女ったらしのような女性とスキンシップをする役が多いので、手を取る仕草がいやらしくなく自然に見えたんじゃないかと思っています。

――伊礼さんが好きな高藤の好きなセリフはなんですか?

伊礼:先ほども話題に挙がった、発足式が決まり、寿恵子さんと初めてダンスを踊るシーンで高藤が言う「発足式が楽しみじゃ。早う、あなたと私を見せつけたか」(6月9日放送、第50話)という傲慢なセリフですね。最初に読んだ時は笑ってしまいましたけれども、これがものすごく好きで、何度も読んで。自信満々で、本気なんだろうなこの人っていう。あとは、西洋料理店で白川(三上市朗)様を交えて寿恵子さんに言うあるセリフ(6月12日放送、第51話)は、僕の中で高藤を作るヒントになったんですよ。ここに彼の真髄があって、本音があって、これをどううまく隠しながら、進めていこうかなと逆算で作っていきました。

――高藤の二度見やお姫様抱っこなど、リアルタイムで届く視聴者からの反響を、伊礼さんはどのように受け止めていますか?

伊礼:撮影は3月だったので、僕にとっては前の話なのに、今盛り上がっているのは不思議な温度差を感じます。改めて本を読み返して、視聴者のみなさんと同じ気持ちになって放送を観ているんですけど、非常に面白いです。レスポンスが早い。「高藤また出た!」とか、出演してない回なのに話題になったり(笑)。お姫様抱っこもそうですけど、寿恵子さんの靴を躊躇なく脱がせる彼のポテンシャルの高さ、心の強さはどこからくるんだろうなと。高藤にとってあれを当たり前にするのは、心配という心が生まれないとできないんだろうなと思うんです。好きな人からすると高藤の行動って受け入れられるんですけど、受け付けない方からするとストーカーチックで、浜辺さんが言っていたように“ヤバ藤”と思われてしまう存在なんだろうなと想像しているので、ドキドキと不安があります。高藤は敵役ではありますけど、僕は愛情を持ってこの役を演じています。蓋を開けて物語がどんどん進展していくと視聴者からすると高藤ってダメな男だと思う。でも決して悪い人ではないので優しい目で見守ってくれたらというのが第一にありますけど、個人的には万太郎と寿恵子さんが結ばれるきっかけになることを目的にしているので、最後まで観て、視聴者の方々の反響を受け止めながら、仕事を全うできたのかを確認していきたいと思います。

――伊礼さんがこれから別の作品でやってみたい役柄はありますか?

伊礼:ミュージカルで悪役と言ったら伊礼彼方。クズ役と言ったら伊礼彼方なんです(笑)。狂気じみた役とかそれを映像でも作っていけたらなと思っている一方、優しい父親役もやってみたいというのはあります。先に父親役をやってしまうと好印象の方が先立って、後から悪役をやってしまうとギャップが生まれて、叩かれてしまいそうなので、先に悪い方をやってから、父親役をやりたい理想はありますけど。

(取材・文=渡辺彰浩)

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