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広島「スカイレール」、2023年末の運行終了は延期か 日本唯一の「モノレール+ロープウエー」

J-CASTニュース

2023年いっぱいで運行終了が検討されてきた広島市の交通システム「スカイレール」が、若干「延命」される見通しになった。千葉都市モノレールや湘南モノレールに代表される懸垂型のモノレールと、ロープウエーを組み合わせたような独特な仕組みで有名だったが、想定よりも利用者が少なく、不採算が続いていた。そのため、運行終了に向けた準備が進んでいた。

だが、前提になる代替バス運行の準備が遅れている。23年11月の運行開始を目指していたが、時期を見直す方向で検討に入った。これにともなって、スカイレールの運行終了もずれ込む可能性が高くなった。

100円の収入を得るために333.7円かかる

スカイレールは、積水ハウスなどが1990年代末に開発を進めたニュータウン「スカイレールタウンみどり坂」(広島市安芸区)へのアクセスを目的に、1998年8月に開業。JR山陽線の瀬野駅に隣接する「みどり口」駅と、1.3キロ離れた山上の「みどり中央」駅の間を片道6分かけて結んでいる。最大で26.3%(1000メートルで263メートル上がる)の急勾配もある。

正式には「ロープ駆動式懸垂型新交通システム」と呼ばれる仕組みで、ロープウエーのような形の25人乗りのゴンドラで人を運ぶ。ロープウエーが支索(しさく)と呼ばれるワイヤーにぶら下がるのに対して、スカイレールは軌道桁と呼ばれる金属製の線路にぶら下がって動く。発車時と停車時はリニアモーターで加減速し、駅と駅の間は、ゴンドラが軌道桁の中にあるワイヤーロープを掴んで動く。モノレールや「ゆりかもめ」のような新交通システムと比べて一度に運べる人数は少ないが、比較的低コストで建設できるのが特徴だ。

この仕組みは日本唯一で、鉄道ファンの間には人気だったが、乗客数は伸び悩んだ。国土交通省が公表している鉄道統計年報によると、20年度の輸送人員は46万7600人で、営業損益は1億2251万1000円の赤字。100円の収入を得るためにかかる経費を指す「営業係数」は333.7円だ。

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運営会社によると、慢性的な赤字体質だったのに加えて、日本唯一の仕組みのため、修理用部品の調達が難しい点も路線存続のネックになった。汎用(はんよう)品がないため特注せざるを得ず、修理コストがかさむ、という構造だ。

代替EVバス運行のための駅前ロータリーなどの整備が遅れる

過去には、他都市が導入を検討した交通システムの候補のひとつとして、スカイレールの仕組みが俎上(そじょう)に上ったこともある。福岡市の高島宗一郎市長が提唱した、博多駅と博多港のウォーターフロント(WF)地区を結ぶ構想だ。仮にここでスカイレールが採用されていれば、部品調達コストが下がった可能性もある。

福岡市の住宅都市局が19年2月に市議会に提出した資料では、地下鉄、モノレール、ロープウエー、スカイレールなど8つの仕組みを検討している。スカイレールは眺望範囲が広いことから「楽しさ(観光資源)」の項目では高評価だった一方で、「速度」「ピーク時輸送力」が低評価。報告書ではロープウエーの導入を検討する、と結論づけた。もっとも、高島氏は市長3選直後の19年3月に構想自体を撤回。引き続き西鉄バスが博多駅-WF地区の主な輸送を担っている。

スカイレールの運営会社は22年11月に地域住民向けの説明会を開き、(1)スカイレールの運行を23年いっぱいで終了する(2)11月から代替となる電気自動車(EV)バスの運行を始める、方針を明らかにしていた。ただ、運営会社が6月6日のJ-CASTニュースの取材に対して明かしたところによると、駅前ロータリーやバス停の整備が遅れており、予定していた11月の運行開始を見直す方向で検討に入った。新たな運行開始時期は未定。バスの運行が遅れる分、スカイレールの運行終了も遅れる見通しだ。

(J-CASTニュース編集部 工藤博司)

 
   

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