松本を批判することを故・ジャニー喜多川氏の「性加害疑惑」がタブーだったことになぞらえただけでなく、松本が監督した映画に対する「芸人による論評」がないことまで持ち出す中田。誰も意見を言えない“権力者ぶり”を、痛烈批判する大暴れだった。
中田は動画内で「(霜降り明星の)粗品くんは言えないよね?」と発言したが、それに対して、相方のせいやがTwitterで「真っ直ぐ勝負してないウンコみたいなやつが相方の名前使うな 中田」とブチギレるなど、ピリつくお笑い界。現場の人間たちは、勃発したバトルと中田の“分析”をどう見ているのか。
若手芸人に匿名でかまわないので、と心境を尋ねたが、「この件についてしゃべったと、万が一にも知られたらマズイんです」と、取材拒否をする者が続出。
広告の後にも続きます
取材に応じた数少ない芸人たちは、「お門違いもはなはだしい」「動画で話した内容を本気で思っていたら、ヤバい人だなぁという感覚です」と、中田に対して厳しい意見ばかりだったのだが……。
では、大御所芸人たちは――?
松本と同じく『M-1グランプリ』審査員を務めていた中田カウス(73)は「吉本におるから。この件は話せんねんな」と取材拒否。
たびたび取材に応じてくれていたオール巨人(71)や、過去に「(『M-1』に)第三者的な人を入れるべき」と発言していた西川のりお(72)ですら、いずれも「吉本を通してくれないと……」と、口ごもるばかり。
そうなると、松本と“双璧”で、吉本芸人からの絶大な支持を集める明石家さんま(67)に聞くしかない……。
中田は、動画内で松本と比較する形で、「さんまさんはそんなに審査員、いっぱいやらない」と取り上げている。6月1日深夜、都内の個人事務所オフィスから出てきた、さんまを直撃した。
――中田さんの「松本さんが審査員をやりすぎ」という発言がいま、話題になっています。
「仕事増えてええやろ!」
あっけらかんと発したのは、意味深な、このひと言。お笑い評論家のラリー遠田氏は、さんまの真意をこう読む。
「審査員の仕事も、テレビ局側から請われて出演しているもので、松本さんが『出たい』と言って出演できるわけではありません。さんまさんの発言は『頼まれて出演しているくらい、仕事がたくさんあってええやろ』という意図のもので、松本さんは非難される筋合いはない、と言いたいのでしょう。私も、松本さんが地位を独占しているとまでは思えません」
若手も大御所も口をつぐむなか、“お笑い怪獣”は後輩たちのバトルを笑い飛ばすのだった。
写真・梅基展央