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J3が映し出す「世界との差を縮めるために必要なこと」。Jリーグ30周年の現在地【英国人の視点】

フットボールチャンネル

 オレンジ色のニットを着ていた長野のシュタルフ悠紀リヒャルト監督は、試合中ずっと怒り続け、レフェリーや第4審判の判定に何度か文句をつけるなど、ピッチ脇で火種をまき散らしていた。一方で山雅ベンチも同じように激高し、セカンドボールをピッチに蹴りこんで素早いリスタートを阻止するといった場面もあった。

 このような些細な動きを試合中に見たくないと言われることもあるが、実際はみんな楽しんでいたりもする。菊井悠介は山雅の左サイドで躍動し、常に相手に問題を起こそうとしていたが、パルセイロは常に相手よりもまとまりのあるユニットを作り出していた。そして、32分には秋山拓也のヘディングで先制した。

 宮阪政樹はJ3のファン・ロマン・リケルメのように淡々とボールを持ち、決して慌てることなく古巣に対して持ち味を発揮していた。長野はリードを奪ってからも主導権を譲る様子はなく、残り11分のところで山本大貴が古巣相手に追加点を決めたのも驚きではなかった。

 残り5分となったところで、シュタルフ監督はホームのファンに必死に呼びかけ、チームが宿敵からリーグ戦初勝利を挙げるのを後押しした。アディショナルタイムにキム・ミンホのミスから小松蓮にゴールを許したが、長野は勝ち点3に値する結果を残した。

「今日僕らが見たのは、信州の人々の生活の一部にフットボールがある姿だと思う」とシュタルフ監督は試合後に語った。「この試合に向けて、本当に街の盛り上がりやメディアの皆様が取り上げてくれて、多くの人たち、普段スタジアムに来ないような人たちも来ていました」

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「自分の街を誇りに思い、ライバルの町に負けたくないという気持ちがあった。普通、それを道の上でやったら喧嘩や戦争に発展することが多いのですが、それがフットボールでは許されていると思いますし、それがフットボールの美しいところ」

●「日本が世界との差を縮める上で必要なこと」

 宮坂も3部リーグでの試合がこれほどまでに感動的な雰囲気に包まれることに感激していた。

「J1やJ2でプレーしてきましたが、そういうリーグにはお客さんが多く来ますが、それをJ3で体験できることに、僕自身も選手として大きな喜びを感じています。感謝すると同時に、毎週、お客さんが入った中で試合をしたいというのが本心です」

 長野と松本のようなライバル関係は、もちろん例外的な状況を生むが、それでもJリーグが最初の30年を築き上げるための可能性を示すものであり、シュタルフ監督はそれを強く意識している。

「地域との一体感も含め、フットボールが日常生活の一部になることが、日本が世界との差を縮める上で今後必要になってくるところだと思います」

「僕たちは長野の人たちのために存在しているので、長野の人たちがしっかりと喜んで、個々でもらったエネルギーを各々の生活に持ち帰って、また来週ここに集まって、仲間たちと騒ぐ」

「信州ダービーはそのサイクルを表現できていると思います。欲を言えば毎試合、こういう熱狂に溢れたスタジアムが日本中で見られるようになってほしいと思います。そのポテンシャルがあることを長野で証明できたと思いますし、他のクラブも同じですが、もっと地域と一体になって、地域の人たちの声に耳を傾けて、喜んでもらえるような取り組みは続けていきたいなと思います」

 首都圏で行われる大規模な試合も楽しいが、サッカーが本当に根付くのは全国各地の町や都市である。最初の30年間は、センセーショナルな成長を遂げ、賞賛に値するものだった。これからの数十年間、Jリーグが日本サッカーを成長させ続けるためには、その根源的な絆に焦点を当て続けることが必要である。

(取材・文:ショーン・キャロル)

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