top_line

あなたの語彙力が試される!
無料ゲーム「ワードパズル」で遊ぼう

動画アップの1時間で売れた事例も Webコンサルタントが語る“YouTubeショートが企業のPRに最適な理由”

Real Sound

 仮に一度バズっても定期的にバズらなければ、動画を目に留めてもらえません。ですが、適切な戦略を持って動画を投稿していれば、GoogleやYouTubeから自社の動画を見つけてもらえるため、中小企業にこそフィットした広報、PRに適した手段と言えます。

・作業工程を撮影するだけでも良い?

――次に、YouTubeショートをビジネスとしてどのように活用すると良いですか?

菅谷:私は“設定したワードでGoogle検索のトップに表示されること”を目指すべきだと考えています。そのためには、重複になりますが、バズるよりも継続的に動画投稿を続けることが必須。バズる動画を月1本しかアップしないよりも、地味な内容でも毎日アップするほうがGoogleに好まれます。とはいえ、動画を定期的に投稿するのも大変です。「凝ったものを作ろう」と固執する必要はなく、編集も最小限で良いと考えています。

――具体的にはどういった動画が良いのでしょうか?

広告の後にも続きます

菅谷:たとえば、製造業の場合、工場内で商品が完成するまでの様子を映した動画で良いです。当然、映えとは無縁の内容ではありますが、作業工程など裏側を見せることで、その商品を求めている人に安心感を与えることが可能です。また、普段行っているような、その日の業務の振り返りを対談形式で撮影しても良いと思います。

――本当に凝ったものでなくても良いのですね。

菅谷:はい。その商品について担当者が解説する動画でも良いのですが、台本を作成したり、撮影のための部屋をおさえたりなど、面倒な業務が発生します。最初は動画投稿を続けることが大切ですので、作業風景だけでも十分です。

――逆に形の無いものを扱っている業界は難しそうですね。

菅谷:そうですね。コンサル業界や法律事務所などは形の無いサービスを扱っており、動画でPRしたい場合はどうしても“誰かがしゃべる”になりやすい。話し手のビジュアルやキャラクター、話し方などが重要になります。頭の中にある知識を売っている業界は難しいかもしれません。とはいえ、数十秒の動画でもOKなので、大量生産もしやすく、無理ではありません。なんにせよ、製造業をはじめとした、形あるものを生産している会社はYouTubeショートで結果が出しやすい業界と言えます。

――ちなみに裏側を見せる以外に、信頼を獲得するために有効な動画はありますか?

菅谷:これは全業界に言えることですが、“お客様の声”は一番影響が大きいです。どうしても猜疑心は持たれてしまうため、お客様の声があればその不安を取り除くことができます。動画に出てくれる人を見つけられたら儲けものです。ただ、キチンと事業していればお客さんとの信頼関係も築けていると思いますので、意外と応じてもらえるケースは少なくありません。

・動画アップの1時間後に売れた

――YouTubeショート活用によって成果を上げた事例を教えてください。

菅谷:まず熊本県にある輪島漆器仏壇店さん。長年売れずに不良債権となっていた商品をYouTubeショートで紹介したところ、1時間後に「動画を見た」というお客さんに足を運んでいただき買ってもらったそうです。同社では商品紹介をはじめとした動画を毎日継続して投稿しており、本当に感心しています。よく「YouTubeショートを始めたけど全然結果が出ない」という相談を受けますが、その原因は継続的に投稿していないことがほとんど。同社のように根気強く発信を続けていれば、ふとしたタイミングで成果を実感できます。

――BtoB系の事例はありますか?

菅谷:長野県で製造業を営んでいる誉工業所さんです。同社はもともと自社ホームページから集客していたのですが、なかなか結果が出ずにいました。そんな折、YouTubeショートを始め、YouTubeショートからYouTubeチャンネルや自社ホームページに誘導して、サービス内容や会社概要を知ってもらい、大手企業からの依頼を獲得した実績があります。同社の社長さんはお客さんのイメージを明確化して、その人が興味を示すような現場での作業工程を撮影するなど、戦略を持って臨んでいることが素晴らしいです。

・今後は予測不能な時代に突入?

――YouTubeショートの有用性が見えてきました。ただ、これまでTwitterやブログでの文章、Instagramでの写真、YouTubeやTikTokなどの動画、といったようにPR方法が変化しています。いま現在、ショート動画が流行っていますが、今後テクノロジーが進歩した際に、次はどのような手段が一般化すると思いますか?

菅谷:動画の時代はしばらく続くと思います。今後は通信回線の精度が上がり、より画質の良い動画が主流になるでしょう。

――“通信回線の向上”以外では、どういったキーワードが台頭しそうですか?

菅谷:やはりAIです。たとえば、生成AIを活用すれば、画力やセンスがなくても簡単に画像を作ることができます。最近話題の“ChatGPT”を使えば文章も書ける。動画で言えば、煩わしい編集業務も簡略化でき、引きのあるサムネイル画像やタイトルもAIが考えてくれるようになるでしょう、そのため、簡単に動画を大量生産でき、“戦略”が今以上に求められるかもしれません。こういったAIの技術と動画マーケティングを掛け合わせた方法が一般化するでしょう。

――具体的にはAIを活用した動画マーケティングとして、どのような手法が考えられますか?

菅谷:私はWeb業界に30年近くおり、これまでは「来年、こんなことが起きますよ」と予想できたのですが、今後の動向は本当に何とも言えません。

――スマートフォンやSNSが普及した時と、AIが台頭しつつある現在ではどのような違いがあるのですか?

菅谷:過去のケースは、文章から写真、写真から動画、動画からショート動画。また、パソコンからノートパソコン、ノートパソコンからスマホ、スマホの回線が良くなってパソコン並みに使いやすくなる、というようにあくまで延長線上の変化でした。一方、AIは突如宇宙人が現れたかのような状況です。実際、数か月前はAIによって描かれたイラストはネタ扱いされていましたが、最近ではプロの絵師さん顔負けのクオリティに達しています。本当に先が読めません。

――予測不可能な事態が起こりやすいからこそ、AIに関する知見を深めておくと良さそうですね。

菅谷:そうです。とはいえ、YouTubeショートを活用した戦略自体は今後も注目される手法と考えています。AIを意識しつつも、まずは動画を投稿し続けるだけでも、十分成果につながるでしょう。

(文・取材=望月悠木)

  • 1
  • 2
 
   

ランキング(エンタメ)

ジャンル