つづいて今回最終日まで優勝争いをしながら2位タイに終わったビクター・ホブラン選手のスウィングです。
この選手は前回の記事でも紹介した、両手をまず低くインサイドに引いておいて、そこでできたスペースに垂直落下するように両手を下ろしてくる、いわゆる「逆ループ」で「ヒップクリア」を達成している選手です。インパクトにおける手元の位置が、ほぼアドレス時点と同じ位置に戻ってきますので、シャフトのプレーンをシャローに保って高い打ち出しを可能にしています。
ここのところ(私が勝手に)「次世代型スウィング」として注目している手法で、一見すると複雑なスウィングに見えますが、両手の軌道と体幹が全く干渉しないため、実は腰痛などの故障も起きにくいのではないかと思います。
「最初から手を遠くに構えておく」デシャンボー
最後に今回は初日首位でスタートしつつも、最終的には4位タイに終わったデシャンボーのスウィングです。
デシャンボーはアドレスの時点でややアップライト、というか棒立ち気味に構え、両腕とクラブがほとんど一直線になるようにハンドアップにしていますので、この時点で既に体幹と両手が干渉しない「ヒップクリア」の状態になっています。
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一般的なスウィングでは、アドレスで作ったシャフトの角度よりも、インパクトでは若干ハンドアップになってライ角が立った状態になりますが、デシャンボーは最初からインパクトの状態に近いライ角でアドレスをすることで、ホブラン選手同様ほぼアドレスと同じ位置に両手が戻ってきてインパクトを迎えます。
ちなみにこのデシャンボー選手の写真は以前のもので、今大会ではだいぶスリムになっていたことを付け加えておきます。
というわけで今回は、全米プロゴルフ選手権で活躍した選手達が、それぞれ手法は異なりつつも「ヒップクリア」をどのように達成しているのかについて検証してみました。
今回の大会はLIV組のケプカとPGAツアー勢の激突、またクラブプロの46歳マイケル・ブロックの健闘など、大きな盛り上がりを見せた大会となりました。
個人的にはやはりここのところあまり噂を聞かなかった、ザ・ゴルフィングマシーンの申し子であるデシャンボーの上位フィニッシュを喜びたいところです。思えば2016年に彼がマスターズでローアマを取って注目されることがなければ、私がザ・ゴルフィングマシーンに興味を持つことはありませんでしたし、こんなコラムを書かせていただくこともなかったでしょう。
まだLIV勢のワールドランキングの扱いなどがどのように変化するかは分かりませんが、次のメジャーである全米オープンで再びLIV勢とPGAツアー勢のぶつかり合いを楽しみにしつつ、今後のゴルフ界の盛り上がりを期待したいところです。