それよりも目立ったのは、LIV勢の活躍だ。大会前は、
「LIVの選手たちは54Hのエキシビションしかやっていないから、実力が落ちている」
と揶揄する人もいたが、ミケルソンとケプカが2位タイ、リードも4位タイとLIV勢が健闘した。
これにはLIV勢の切実な状況が影響しているのかもしれない。というのも、前述のようにLIVの大会は世界ランクの対象になっていないので、LIVの選手たちは移籍後に大幅に世界ランクを下げているからだ。
LIV勢のマスターズ前の世界ランクは、ミケルソンは425位、ケプカは118位、デシャンボーも155位と、PGAツアーで戦っているときには考えられないほど大きく順位を下げているのだ。
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それでもメジャーに出場できるのは、ここ数年でメジャーに勝っているからだが、この資格にも有効期限はある。
いちばん切実だったのはリードかもしれない。
マスターズに優勝したのは2018年なので、マスターズ以外のメジャー出場資格の有効期限が迫っているからだ。有効期限が切れた後にもメジャーに出場するためには、世界ランクを上げるしかない。そのためには、大きなポイントを稼げるメジャー大会で好成績を収めることが重要になってくる。
それはマスターズ後の各選手の世界ランクを見れば明らかだ。425位だったミケルソンはマスターズで2位タイになったことで、一気に世界ランクを353ランク上げ、72位にまで復帰した。ケプカも79ランクアップの39位に入り、トップ50に戻ってきた。4位タイのリードも70位から45位へと大幅にランクを上げた。
先週開催の全米プロにもLIV勢はマスターズと同様に多くの選手が出場した。
優勝したケプカは前週の44位から13位に大幅アップ。4位に入ったデシャンボーも214位から90位にランクアップした。
世界ランクのポイントを稼ごうと必死にプレーするだろうLIV勢とPGAツアー勢の直接対決は、年に4回のメジャーでしか見られない。
その価値が今後も高まりそうだ。
※週刊ゴルフダイジェスト2023年5月30日号「LIVゴルフで世界のツアーはどうなるのか?」一部加筆しています。
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