「打ち下ろしの10番は多くの選手が3Wでドローを打っていました。ドライバーでフェード、3Wでドローというのが、新たなオーガスタの攻め方なのかもしれません」
「曲がり幅をコントロールしやすく、高弾道で止められるのが最大の魅力」(横田プロ)
マスターズを5勝したタイガー・ウッズ。その武器もフェードだ。とくにタイガーは最終日や優勝争いなど、大事な場面では必ずカット打ちのフェード多用する。
となるとフェードこそが最強といえそうだが、その理由はどこにあるのか? 横田プロは、
「ドローはファーストバウンドが跳ねやすくランが出ます。どこまで転がるかわからないのはプロにとって不確定要素でしかありません。逆にフェードはボールが止まりやすいので計算できます。だからプロは確実性の高いものを選ぶのです」
横田プロによれば、ボールを止められる要素は弾道の高さ(落下の角度)とスピン量しかなく、フェードはこの2つを同時に手に入れられるという。その理由はドローと違い、ロフトがあまり立たずにインパクトするため、高弾道になりやすく、またスピンがかかりやすいためだという。スピンが多く入ることで弾道も安定し、曲がり幅がコントロールしやすくなる、というメリットもあるのだ。
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「ドローは体の一部を止め、タメを作ってボールをつかまえる動きが求められます。それだけ複雑で難しいのです。一方、フェードは切り返しから体を回し続ければいいので技術的にも難しくありません。動きがシンプルなので、一定のリズムが保ちやすく、再現性も高くなります。緊張した場面、勝負どころでもいつも通り振り抜けるのはプロが選ぶ理由になるはずです」
横田プロは、フェードはミスが出にくいボールだとも語る。プロでもアマチュアでもここ一番では力が入ってしまう。そうした場面でいくら強く打ってもミスが出にくいのがフェードだというのだ。
「これは力のベクトルの関係なのですが、フェードは振り抜く方向とボールが曲がる方向が逆になります。そのため力を入れ過ぎてもミスになりにくいのです。ドローは2つのベクトルが同方向ですから、ちょっとした力加減で飛び過ぎたり、曲がり過ぎたりというミスが出てしまうわけです」
タイガーがカット打ちを多用する理由もそこにあるのだろう。
まとめ・フェードが最強といえる4つの理由
●フェードのメリット① ロフトが立たずにインパクトすることで弾道が高くなる
ドローはロフトが立ちながらインパクトするため、高弾道を打つには高い技術が必要になる。一方、ロフトがあまり立たずにインパクトするフェードは高弾道が打ちやすい。ハイフェードはプロには難しくない技術なのだ。
●フェードのメリット② 適正なスピン量を確保できるからボールを止めやすい
インパクトロフトの影響でドローに比べ、フェードはスピンがかかりやすい。
「ボールを止めるには落下角度(高弾道)とスピン量が不可欠です。この2つを同時に得られるのがフェードの魅力なんです」(横田プロ)
●フェードのメリット③ 強く叩いても突発的なボールが出にくい
フェードの強みは強く叩いても突発的なボールが出にくいことだ。これはクラブの動きとボールのスピン軸のベクトルが違うためだが、ドローはクラブの動きとスピン軸が同方向になるため、力加減がダイレクトに伝わりやすい。
●フェードのメリット④ 緊張した場面でもリズムが一定なので同じ動きができる
ドローは体の一部を止める(タメを作る)、ブレーキングという動きが求められる。それだけ複雑で難しい。逆にフェードは体を回し続ければいい。緊張した場面でもリズムを保ちやすく、再現性が高くなるのだ。
TEXT/Kenji Oba PHOTO/Blue Sky Photos THANKS/クラブハウス
※世界ランクは4月26日現在のデータ
※週刊ゴルフダイジェスト2023年5月23日「世界のトップ選手はみんなフェードだ!」より
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