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早乙女太一「僕らの”お祭り”にふらっと遊びに来て!」劇団朱雀の祭りが始まる!

TOKYO HEADLINE

――さて、今お話しいただいている”お祭り”なのですが、どんな”お祭り”なんでしょうか?

 ……言葉の通りですよ(笑)。なんでもやってますし、なんでも見られる。

 単純に、大衆演劇も他の演劇も、他のエンターテイメントもそうだと思いますけど、お客さんと役者が向き合って一緒に空間を作っていくもの。その空間って大事ですよ。それを”お祭り”と表現しています。舞台の上で役者たちがお見せするものにはお祭りみたいなものもあるけれども、そういうことじゃなく、公演自体が祭りになる。その場が”お祭り”のような場所になればいい、と思っているんです。

 僕はもちろん出演してくれるみんなも今まで培ってきたものを全部詰め込んでいるんで、これを見に来てくださいというような、特にここを見て!というものもなく、全部が見どころ。お祭りに行くといろいろな出店が出ているでしょう?  そんな感じで、舞台に出し物が並んでいく感じだと思っていただければと思います。

 これまで通りの”お祭り”をしたいんですよね。もちろん、新しい曲だったり、新しく取り入れることもあるんですけど。大切にしたいのは根本。大衆演劇の根本であったり、舞台の在り方。

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ーー 舞台の在り方といいますと?

 もともと役者なんてものは、寺とか神社に舞台を作ってそこでやってたんです。舞台の周りには出店があったりして。お客さんはふらっと見に来て、出店でお酒を飲んだり、おでんをつまんだりしながら見るようなものでした。今はいろんな舞台があって、舞台というと格式が高かったり、キチッとしているものみたいな感覚が増えていますが、もっと根本にあるお客さんとの一体感というか、もっと気楽な感じで楽しんでもらいたい、と。役者はその時にできることをすべて全力でやって、お客さんにそれを楽しんでもらうという根本のところを劇団朱雀でやれればと思うんです。

ーー その”お祭り”の場、根本のところを楽しんでもらうために劇団朱雀がやっていること、これまでも含めて工夫してきたことってありますか?

工夫か……なんかあるのかなあ(笑)。なんか自然とそうなっちゃってた、いつのまにかそうなってたってことばかりじゃないかな。僕たちが作ったことももちろんありますが、お客さんが作ってくれたものも大きいし、それこそお客さんと一緒に作ってきたところもあるので。

 

ーー少し早乙女さん自身について聞かせてください。劇団朱雀の舞台には子どもの頃から立ってきて、解散・復活を経て、今は劇団を率いる立場。劇団や芝居に対する思いにも変化がありますよね?

 全然変わりましたね。きっかけは……舞台に立つことが当たり前じゃないということがわかったことじゃないですかね。僕は子どもの時から舞台に立ってきて、舞台に立つことが生活の一部だったわけですけど、それは当たり前のことじゃないと分かってからは、お客さんに失礼なことをしたくないし、自分自身に対しても失礼な舞台、失礼な生き方をしたくないと思うようになりましたね。

ーーそう感じるきっかけになったことがあるのですか?

 最初は17歳ですね。初めて外部の公演に出て、いろんな役者さんたちを見て、舞台に上がることは特別なことで自分の人生に挑んでるんだって思ったんです。舞台というのは、ちゃんと向き合う場所なんだって。僕にとっての舞台はお風呂に入ることやご飯を食べることと一緒だったから。

ーーあまりお芝居は好きじゃなかったというお話を聞いたことがあります。

 お芝居は…嫌いでしたね。20過ぎても嫌いでした。表現方法のひとつとして学ばなきゃいけないと思ってるという感じで、実は今でも好きじゃなかったりもします(笑)。ただ踊るのは好きですね。

ーー そんな中で、劇団朱雀ってご自身にとってはどういう存在であり場所だったんでしょうか。

 自分のルーツではあるんだけれど…実家っていう感覚とは違うんだよなあ。……面倒くさい話になるんですけど、僕、ずっと嫌いで、ずっと反発してやってきて、ずっと離れたいエネルギーで頑張れていたところがあるんです。自分の人生の半分以上そういう環境でやってきたので、そのまま終わらしたくないというのがあって。自分が好きな場所にしたいし、そこにいる人たちにはめちゃくちゃ楽しんでもらいたい。劇団朱雀を、今までの自分、今では他人みたいな感覚があるんですけど、そいつに楽しんでもらいたいなと思うんです。

 お客さんももちろんそうなんですけど、自分自身が楽しめて必死に生きれる場所に作り直したい、というのが劇団朱雀を解散するときに思っていたことでした。ちゃんと自分で作り直す決意があっての解散でした。それをどういう場所と表現していいか…分からないですけど。

ーー 今、自分の好きな場所になってますか?

今のところ、そう作れていると思います。解散の時から思い描いていたことなので、その時からずっと作り続けている感じです。

 

ーー改めて、「劇団朱雀」ってどんな劇団なのでしょうか?

考えていくと、劇団なのかなあ(笑)。……そこで生きれる人たちが集まっている集団というか。そんなこと言うと、劇団朱雀だけじゃなくて、みんなそうですよね。お客さんに楽しんでもらいたいと思ってやるのは一緒ですが、劇団はずっと一緒に何かを作っていく人たちで、僕たちは集まろうぜって集まってがむしゃらになってモノづくりをしているだけなので……百鬼夜行みたい。いろんな妖怪が年に一度集まってくる。個性豊かな変な奴らが集まってるんですよ。

ーー劇団朱雀とは別の集団だったりユニットに身を置くことも多いと思いますが、その時に、劇団朱雀にしかないものに気づいたりしませんか?

それは……何もないってことかな(笑)。何もないからなんでもやるっていうね。例えば、劇団や舞台にはその劇団の色だったり、あると思うんです。極端かもしれないけど、劇団朱雀って何もないからこそ何でもできる、何でもやってる感じがしますね。


ーーその「何もない」ところから、お祭りが生まれるんですね。そう考えると出し物のアイデアなども……ビックバン的なものなのでしょうか?

……ビッグバンは起きないですよ! 何もできない人たちしかいないんですから(笑)。何をやるかひとりで考えて、後はひたすらみんなで稽古。やることがいっぱいあるんですよ。日替わりだったりもするし。本当に数ですね。

ーー 分かるようで分からなくて、見るしかない……という公演ですね。楽しみです。さて、最後に早乙女さんが目指すところを教えてください。

舞台でお祭りを作るだけじゃなくて、祭りごと、祭りそのものを作るというのが僕が向かうべきところかなと思っています。今は東京や大阪といった都市でしかできていないですけど、全国に届けに行きたいし、地域の人たちとお祭りを作りたいし、出店を作りたい。そういう根本に戻りたい。寺や神社だったり野外で縁日を作って公演をやったりね、目標です。

 今、いろんな娯楽がありますけれども、人と人とがつながって、一緒に何かを作る、一緒にお祭りを作って、心を元気にする。そういうことが大衆演劇であったり芝居の根本かなと思っているんです。日々の生活の中でいっぱい辛いことや苦しいことがあるなかで、足を運んでくれたお客さんがちょっとでもそういったことを忘れられるような場所を作れたらって思います。そのためにも、僕が作るものは難しくて重いものじゃない。単純でいいって思っています。

 この”お祭り”もそのひとつ。僕ら”お祭り”にふらっと遊びに来ていただけたら、うれしいですね。

 

(TOKYO HEADLINE・酒井紫野)

■劇団朱雀 【日程】 2023年5月19日(金)~31日(水)東京・かめありリリオホール ※22日と29日は休演 2023年6月7日(水)~11日(日)大阪・COOL JAPAN PARK OSAKA TTホール 2023年6月15日(金)~18日(日)福岡・キャナルシティ劇場 2023年6月16日(金)~25日(日)沖縄・アイム・ユニバースてだこホール 大ホール 【総合プロデュース・演出】早乙女太一【出演】早乙女太一、早乙女友貴、富岡晃一郎、久保田創、安田桃太郎、小川智之、岩崎祐也、熊倉功、南誉士広、藤原儀輝、関根アヤノ、高畠麻奈、小林礼佳、沙也香、Yui Wataabe、Mai Watanabe、Peco、鈴花奈々、葵陽之介 【料金】全席指定8800円 ※6歳以上有料、5歳以下入場不可

【オフィシャルサイト】https://www.gekidan-sujaku.com/
【オフィシャル Twitter】https://twitter.com/gekidan_SUJAKU

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