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日本アニメの優位性は失われていく? 業界の重鎮は前途を危惧

NewSphere


 このところ日本映画界では海外でヒットするアニメ作品が登場し、続々と観客動員数や興行収入の記録を塗り替えている。ところが、日本アニメ界の第一線で業界を支えてきたアニメプロデューサーは、業界の未来を不安視。日本のアニメ産業が優位性を失い、中国などの新しいライバルに抜かれることを危惧していると海外通信社に語った。

◆好調日本アニメ 中国、韓国で記録更新
 1月5日に韓国で公開された『THE FIRST SLAM DUNK』は、460万人以上を動員。『君の名は。』(2017年韓国公開)の日本映画観客動員数記録を塗り替えた。中国でも4月20日の公開から4日足らずで観客動員数は1000万人を突破。興行収入は公開開始から約2週間で6億元(約117億円)を超えた。

 3月24日から中国で上映が開始された『すずめの戸締まり』は、4月17日時点で累計観客数が2260万人を超え、中国での日本アニメ歴代1位を記録した。興行収入は8億元(約156億円)を超え、日本での興行収入を上回っている。韓国では3月8日に公開され、『THE FIRST SLAM DUNK』の動員記録を更新。日本映画として歴代1位となっている。

◆次世代育成ができない 業界の重鎮が懸念
 日本アニメの快進撃にもかかわらず、業界に警告を発するのはアニメプロデューサーの丸山正雄氏だ。漫画界の巨匠、手塚治虫氏の虫プロダクションからキャリアをスタートさせ、才能あるクリエイターを発掘して数々の素晴らしいアニメを世に送り出してきた。最近では『鉄腕アトム』のエピソードをリメイクした漫画『PLUTO』のアニメ化にエグゼクティブプロデューサーとして参加している。

 丸山氏はAFPのインタビューで、「日本では、もはやアニメーションの訓練を受けている人はいない」と指摘。日本は「カワイイ」女性キャラクターを主役にするなど、金になるジャンルのアニメを量産することに夢中になっており、アメリカのディズニーやフランスのアートハウス作品に芸術性の点で「必ずしも秀でているとはいえない」と危機感を表した。

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 アニメを量産することで時々成功する作品も出るが、それが次世代の才能を体系的に育てることから目を逸らすことにつながっていると丸山氏は警告。若手アニメーターに積極的に投資する中国と比較した。

 中国が日本に追いついていないのは、表現の自由に対してまだ多くの制限が課せられているからで、こうした制限から中国が解き放たれたなら、日本はあっという間に追い抜かれるだろうとしている。

◆若い世代の仕事が奪われる? アニメ界にもAIの波
 もっとも中国テクノロジー系サイト『PINGWEST』によれば、中国ではAI(人工知能)が生成するアートの影響で、多くのアニメーターが職を失うという問題が出ている。

 アメリカでもAIへの懸念が広がっている。アニメーションライターのフランク・ギブソン氏も、入門レベルのライターやアニメーターが行うような仕事はAIに取って代わられる可能性があると指摘。制作の初期段階をAIが担えば、若いアーティストの学習の機会が失われてしまうと述べ、よりクリエイティブな仕事まで上り詰めることができる次世代が減ることを危惧している。(米エンタメ情報サイト『IGN』)

 テクノロジーを使って仕事が楽になるのなら、必ずしも悪いことではないという意見もあるが、人が働けなくなるというコストと天秤(てんびん)にかけた場合、AI活用のデメリットはメリットを上回ると指摘する米業界関係者もいる。丸山氏が指摘した問題をさらに悪化させる可能性もあり、日本のアニメ界にも新たな課題となりそうだ。

 
   

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