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名誉毀損訴訟、看板司会者「降板」も…変わらない米フォックス

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 名誉毀損(きそん)を訴える裁判と、看板アンカー、タッカー・カールソンの「降板」に関する話題でメディアを騒がせている米フォックス・ニュース。波紋を呼ぶも、同社の根本的な体質が大幅に変わることはなさそうだ。

◆大統領選挙に関する虚偽報道をめぐる訴訟
 2021年3月、集計システムを手がける米ドミニオン・ボーティング・システムズ(Dominion Voting System、以下、ドミニオン)は、米メディア大手フォックス・コープと傘下のフォックス・ニュース(以下、フォックス)を、名誉毀損の訴えで告訴した。焦点は2020年の大統領選挙で、フォックス側は、ドミニオンが票の集計に自社の機器を使い、民主党候補のバイデンが共和党候補のトランプに対して有利になるよう操作したとする虚偽の主張を繰り返し放送した。この事実と異なる報道に関し、ドミニオンはフォックス関係者へ30回以上、「事実と異なる」点に対しての通知を行うとともに、2020年の11月と12月の2度にわたって、フォックスに対して撤回要求の書面を送付していたという。しかし、フォックスは虚偽報道を続け、ドミニオンの名誉を毀損し続けた。これを受け、ドミニオンは16億ドル(約2200億円)の損害賠償を求めて訴訟を起こした。

 約2年の期間を経て、陪審員が決定され、まもなく開廷という土壇場で、ドミニオンとフォックスは4月18日、和解に至った。フォックスが7億8750万ドル(約1100億円)を支払うことになり、結果、フォックス・コープの会長であるルパート・マードック(Rupert Murdoch)やフォックス幹部は自身の責任をめぐっての法廷証言を免れた。和解金はドミニオンが当初求めていた金額の約半分となったものの、メディアの名誉毀損の和解金としては過去最高額。フォックス・コープの手元資金は昨年末時点で約40億ドル。今回の和解金額はその2割相当だ。

 ドミニオンのジョン・プーロス(John Poulos)最高経営責任者(CEO)は、約20年前にカナダのトロントで始めた会社が、2020年時点では5000万ドル規模の会社に成長した軌跡を述べた上で、損害賠償の支払いという形でフォックスに責任を取らせたことについては安堵(あんど)しているとのコメントを発表。一方で、フォックスが視聴率と自社の利益を優先し、内部では虚偽であることを承知しながら、虚偽の報道を繰り返した点について改めて強く批判した。和解の内容では、フォックスの謝罪や撤回・訂正などは求められておらず、この点に関しては、批判の声も上がっている。

◆看板アンカー、カールソン「降板」の影響も限定的か
 ドミニオンとの和解のニュースから1週間たたない24日、フォックス・ニュースは、同放送局の看板アンカーであったタッカー・カールソン(Tucker Carlson)が同社を去ることとなったと発表。その報告記事においては、同社とカールソンは別の道を歩むことで同意したと記載されており、「降板」や「解雇」といったような表現はない。カールソンは2016年より看板番組『タッカー・カールソン・トゥナイト』の司会を務めてきた。カールソンが去るとの発表があった前週の金曜日も番組は通常通り放送され、最終回の予兆はなかった。

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 カールソンは、トランプ大統領をはじめ共和党の政治家に対して大きな影響力を持つとともに、保守派の米国民からの支持を集めていた。カールソンは、移民などによって白人系が非白人系に置き換わるという白人至上主義的な人種差別の陰謀論、グレート・リプレイスメント論(Great Replacement Theory)などやデマを拡散してきた。フォックスとドミニオンの訴訟によって、カールソンは真実を知りながらも、デマや陰謀論を意図的に拡散していた証拠も明らかにされていた。

 人気アンカーを「失った」フォックスだが、同社への打撃は限定的だ。次期アンカー探しは難しくはなく、むしろフォックスにとっては、白人至上主義者的な過激な主張から少し揺り戻すという機会でもあるという見方もある。

 メディアや世間を騒がせているフォックスだが、倫理や真実を守ることに対しての責任を問われることはなく、メディアとしての信頼損失や経済損失も一時的なものでしかなさそうだ。

 
   

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