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OMSB、一人のラッパーとしてのただならぬ気迫 “自分の普通をやる毎日”に向けて燃料を入れた2度目のワンマン

Real Sound

OMSB(写真=Ryo Mitamura)

 ラッパー/ビートメイカーのOMSBが3月10日、東京・渋谷WWW X『OMSB ONE MAN LIVE “KROOVI’23″』を開催した。昨年3rdアルバム『ALONE』で活動の新たな礎を据え、満を持して行った単独公演『OMSB “ALONE” ワンマンライブ』も話題となった彼による、第2回目のワンマンが本企画である。

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 先日リアルサウンドテックで行ったインタビュー(※1)でも「良いライブができそう」と自信をうかがわせていたが、この夜は自身の「今日はラップしに来た」というMC以上でも以下でもない、ラッパーとしての自分を全面に押し出すステージとなった。気合と気迫を感じたパフォーマンスの内容を以下に伝える。

 前回のワンマンを収めたライブ盤『ALONE LIVE』が好評だった、彼のライブへの期待値は高い。それが熱気として会場に満ちている。そして鳴り響いたサイレンに続き、この日のために髪を剃って気合を入れたというDJ・Hi’Specが1曲目「Childish Wu」のビートを投下。次いでOMSBが登場すると会場に拍手と歓声が起きた。マイクに込める彼の声色は太い。

 続く「Naruhodo」は3連符のグリッドでフロウ、「New Jack」では緑と赤の照明のなかで〈ウンザリしちゃう流行り廃りナニカニ/その逆も然りだ〉のパンチラインも炸裂させる。「Lose Myself」の前のめりに鳴るスネアも気持ちよく響いた。そして「Nowhere」。ビートにフロアは揺れ、フック〈がっかりさせてごめんね〉の合唱が自然発生。

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 さらに「今日は来てくれてありがとう!」とMCを簡潔に済ませて「黒帯」、「Gami Holla Bullshit」、「One More Say Boom Bap」と曲を繋いだ。ビートのブレイクとアカペラの交換など、Hi’Specとのコンビネーションもばっちり。汗を拭いつつ言葉を吐き出す。いつの間にか纏っていたスタジャンはどこかに消えていた。

 「今日はラップしに来た」という言葉が本企画のすべてだ。OMSBがそう発言したのは続く「Kingdom (Homeless)」披露時。この日の彼は肩の力が抜けているとは言い難かった。それは緊張しているとか、力んでいるといったネガティブな意味ではない。その観点でいえばトレーニングやリハなど、準備に裏打ちされた自信は感じた。それよりも彼が全身から放っていたのは、まるで特攻を覚悟した兵隊のようなオーラ。気合以上の「気迫」としかいえない何かだ。

 それからチルでいて存在感のあるキックが体に当たる「Hush」、アブストラクトなビート上でラップがリズム的な羅針盤となる「Vision Quest」を並べ、さらに1stソロアルバムから「Joke」、2ndから「Ride Or Die」や「Memento Mori」と懐かしい曲も織り交ぜる。エモいコードがループする「CLOWN」のビートにも酔いしれる。

 OMSBのリリシストな面だけでなく、お茶目な一面が見られるのもライブならではの見どころ。突然の「俺は自分で気持ちよくなるために、自分を元気づけることに力を注いでいるから、その自己満足を誰かに栄養として与える……」という迷MCでも会場が沸く。そして「Think Good」最後でビートが消えてから、たっぷりとしたリズムで言葉を紡いで終盤戦への道にガソリンをぶっかけ火を付けた。

 「Scream」に続き「OMSBから君へ」。空を見上げながらラップを打ち上げ、ハンズアップするオーディエンスに向けて「揺れろ!」と呼び掛ける。フロアに波を起こしてから「LASTBBOYOMSB」では天に向かって二本指。

 本編最後は「Standalone | Stallone」からの「World Tour」という流れだ。ラップと入れ替わりざまにブラスのキメが入ってエンディング、ステージ上からOMSBとHi’Specのふたりが退場する。「今日めっちゃ自信あるよ。それだけのことやったと思ってるよ」というMCがカマシでないことはよく理解できた。

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