水はどんな形の器に入れられても、その形の通りになります。
水のような液体では、構成している分子同士の結びつきが、金属のような固体ほど強くありません。そのため、分子はわりと気ままに運動しています。それこそが、水が容器に合わせて簡単に形を変えられる理由なのです。
しかし、それでもまったくの自由というわけではありません。水の分子はお互いに弱い力(分子間力)で引き合っていますから、❶のように、なにかの拍子でいくつかの分子が特定の方向へ大きく動きはじめると、周りの分子も引きずられて同じ方向へ動きはじめます。
これが液体や気体の粘る性質、つまり粘性です。
粘り具合をあらわす係数に粘性係数があります。水飴のように粘り気が高い液体は粘性係数が大きく、水のように比較的さらさらしている液体では、粘性係数が小さいのです。また、意外に思うかもしれませんが、粘性係数は温度によって変化します。一般に液体では、温度が高くなると粘性係数は小さく(よりさらさらに)なります。
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❸は、ガラス管の中の水の流れを模式的にあらわしたものです。インクなどを使って水の流れを観察すると、ガラス管の壁面に近い水ほど流れが遅く、中央ほど速いことがわかります。
この理由は次のように説明できます。
ガラス管の壁面に接している水は、壁面との摩擦でほとんど動くことができません。また、その近辺にある水も、壁面に接している動かない水に引きずられて動きにくくなっています。逆に、壁からいちばん離れている管の中央ではこの影響のもっとも少ない部分ですから、流れが最速になります。
これを真っすぐに流れている川に当てはめてみましょう。