これこそまさに、主催者の求めていた声だ。ウォームハブは、エネルギー貧困を緩和するとともに、孤独感を和らげるためにあるそうだ。
RSCのクリエイティブ・プレイスメイキング・マネージャーとしてウォームハブを取り仕切る二コラ・サルモン氏は「暖房の効いた建物もそうですが、そのような温かさもまた来る人を歓迎してくれます。いつでも誰かしら会話できる相手がいるのですから」と述べている。
ロンドンから約160キロ離れたストラトフォードは、出身者のなかでも最も有名なウィリアム・シェイクスピアのおかげで繁盛している裕福な町だ。極寒の平日でさえも観光客が集まり、ハーフティンバーが特徴的なチューダー様式の建築物が並ぶ通りを散策しては大詩人が生まれた家を見学し、勉強した教室を訪れ、中世のホーリー・トリニティ教会にある墓を見下ろす。
RSCはストラトフォードの主要な文化財の一つであり、多くの住民の雇用主でもある。サルモン氏はウォームハブについて、「豊かで裕福だと思われがち」だが「深刻な貧困に苦しむエリア」も抱えている町との親交を深めることを目的とした取り組みの一つだとしている。
ウォームハブは、イギリスのフードバンク(現在推定2500ヶ所)のように、常設化の兆しを見せている危機対策だ。
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ストラトフォード周辺のカウンティを対象とする慈善団体のウォリックシャー州農村地域協議会は、パンデミック禍の規制により農村部の住民が孤立に追い込まれていた2021年に、移動型のウォームハブを始動した。ミニバスがポップアップ式のアウトドアカフェになるというものだ。
1年前、協議会はイギリスの燃料ガスの大半を供給している民間企業、カデントの支援を受け、カウンティの5ヶ所でウォームハブを運営した。冬の到来により光熱費が高騰するなか、その数は90ヶ所にまで急増。ガスの使用量削減を目的とし、食事の提供から修理サービス、じっくり弱火で作る料理の教室までありとあらゆるものを用意している。
ウォームハブのうち30ヶ所は常設化を視野に、今年の夏も引き続き営業する見込みだ。先の移動式ウォームハブも、週に5日は路上に出る。
ウォリックシャー州農村地域協議会でウォームハブのマネージャーを務めるジャッキー・ホールクロフト氏は「こんな状況があってはならないと言われていますし、実際あってはなりません。しかしこんな状況なんです。最も驚くべきは、ウォリックシャー州のあちこちから何百人、何千人ものボランティアが駆けつけ、その誰もが何かを変えようとして団結していることです」と言う。
RSCのウォームハブは3月末で閉鎖となるが、すでに来年の復活に向けて計画が進められている。
常連のボルジャー氏は「ものすごく寂しいです。燃料危機が永久に続いてほしいとは思いませんが、この空間が存続するよう願っています」と話す。
By JILL LAWLESS Associated Press
Translated by t.sato via Conyac