「小動物っぽくてかわいい」印象だけど…
笑ったときにチラッと見える「八重歯」。上の歯2本が前に飛び出ているのが特徴で、“小動物っぽい”イメージを与えることから「かわいい」印象を持つ人も多く、チャームポイントの一つと捉えられることも多い歯です。しかし一方で、「歯並びとしては良くないよね?」「歯磨きがしづらそう」「矯正した方がいいのかな」「チャームポイントとして残したいけど…」という声も聞かれます。
「八重歯」は矯正した方がいいのでしょうか。それとも、そのままで問題ないのでしょうか。高谷秀雄歯科クリニック(宇都宮市)院長で歯科医師の高谷秀雄さんに聞きました。
チャームポイントなのは日本だけ?
Q.そもそも、「八重歯」とはどんな歯ですか。
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高谷さん「上の歯のうち、『犬歯』や『糸切り歯』とも呼ばれる、前歯から数えて3番目の歯が、歯列より上かつ外側(唇側)へ移動した状態を、古くから『八重歯』と呼んでいます。『刃(やいば)』が語源として有力だそうです。ちなみに、医学的には『上顎(じょうがく)犬歯の低位唇側(ていいしんそく)転移』といいます。
遺伝が原因といわれやすいですが、『八重歯が遺伝』するのではなく『顎の大きさが遺伝』して、結果的に生えるスペースがない犬歯が外側に出てくるケースが多いです。また、乳歯から生え変わるタイミングが遅いことも原因になります」
Q.八重歯は「笑ったときに見えるとかわいい」など、ポジティブなイメージを持たれることが多い歯ですが、一方で「よくない歯並びでは?」といった声もあります。歯科的観点ではどうでしょうか。
高谷さん「八重歯がチャームポイントとして認識されているのは、世界で日本だけといわれています。アニメキャラクターでも強調して描写されていることがある他、わざわざ八重歯を作りたいという人もいるほどです。しかし、欧米では吸血鬼を連想させるため、不吉な印象を与えやすいそうです。
歯科的観点でみると、八重歯があることによって口腔(こうくう)内をかんでしまったり、歯磨きが難しい隙間が生じたりという問題があります。また、歯列が乱れていると食べ物をかむ場所が偏ってしまい、顎関節に影響が出ることもあります」
Q.八重歯は「矯正した方がいい」か「そのままでいい」か、どちらだと思われますか。