それに加えて、本編と食い違っている点はもうひとつある。それは暢子が売店に電話を入れたというくだりだ。
本編の第27回では、三郎が「山原村なら知り合いがいる。今からでも電話すれば、お母さんに知らせてくれるだろよ」と語っていた。つまり三郎自身がその知り合いに直接、電話を入れていたはずだ。
ところが「歌子慕情編」では、暢子が山原村の共同売店に電話を入れたと、話がすり替わっていた。万に一つ、三郎の言う「知り合い」が共同売店責任者の前田善一(山路和弘)だった可能性もなくはないが、それがさすがに虫が良すぎるというもの。そもそも「ちむどんどん」本編には三郎と善一が知り合いだという描写は一カ所もない。
それに本編では、大事なことは善一自身が比嘉家に伝えていたもの。それが「歌子慕情編」ではなぜか新垣のおばぁがメッセンジャーになっており、その意図も不明ではないか。もはや「ちむどんどん」の考証無視は、過去のストーリーすらも改ざんするレベルに達していたようだ。