「今年10月より、これまで利用できなかった企業型確定拠出年金(企業型DC)に加入している会社員も、原則iDeCoを利用できるようになります。企業型DCも60歳以降に年金として受け取るお金を積み立て、運用するという点で、iDeCoに似た制度ですが、自分で掛金を拠出するのではなく、企業が掛金を拠出するという点が違いです。これまで企業の年金規約で定められていなければ、iDeCoとの併用は不可でした。しかし、10月1日からはこれが原則併用可能になります」
厚労省によると、企業型DCに加入している人は約750万人(※数字は去年3月末時点)。藤原記者は「どれくらいの人がiDeCoに加入できていなかったのか、企業によって違うため、厚労省も集計できていないそうです。ただ、企業の多くが併用可能ではないため、750万人のうちの多くの人が対象になるでしょう」と話す。その上で「転職時には注意が必要だ」という。
「企業型DCは6カ月以上移行手続きを忘れてしまうと、お金が『国民年金基金連合会』に自動的に移され、運用が停止され、管理手数料もかかり、マイナスになってしまう恐れもあります。iDeCoを継続利用する場合でも、転職時に加入資格が変わるため手続きは必要。手続きをしないと、掛け金の引き落としが停止するといったケースもあります」
今回の改正の背景には、何があるのだろうか。
「岸田総理は年末にiDeCoやNISA改革などを含む『資産所得倍増プラン』を策定する方針を示すなど、国としても、制度を拡充していくことで、個人の銀行口座に眠っているお金を貯蓄から投資に回るようしたい、という方向性になっています。この改正にも同様の背景があるのではないでしょうか」(ABEMA NEWS)