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劇場版『暴太郎戦隊ドンブラザーズ』は親子で楽しめる一作 5人揃った“名乗り”も必見

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 主役に抜擢されたタロウとはるかの“棒”演技は、表情や声色、セリフの言い方のクセが強すぎて、観ていて不安になるほどだ。プロデューサーの三枝も「やっぱり素人に演技は無理だったか……」と思うも、巨匠・黒岩監督(姜暢雄)が「求めていたのはこれだ!」と言う。撮影しながら、「映画は爆発だ!」「自己を解放しろ~!!」と、どんどんヒートアップしていき、とうとうヒトツ鬼に変身してしまう。戦いながら撮影が進み、かなりはちゃめちゃだ。

 ヒロインを演じるはるかの隣を走り続けながら、ヒーロー役がどんどん入れ替わっていくシーンは、お笑いコンビ笑い飯の「ちょっと替われ」を思い起こした。これだけ個性あふれる登場キャラクターが次々隣に来ても、飲み込まれずにらしさを発揮し続けるはるかは、凄みさえ見える。

 さらに、本編では長らく登場していなかった「神輿」が久しぶりに登場し、戦隊シリーズ定番なはずの5人全員での“名乗り”が、ようやく映画にて初披露となった。怒涛の展開が続き、打ち上げ花火を見続けているような感覚だった。

 はちゃめちゃなようで、登場人物全員が真面目で、どこか抜けていて茶目っ気がある。映画が終わったときに「何を観てたんだろう?」とよぎったものの、出演者も7月30日に出演したサマステのステージで「何をやってるのか自分たちもわからない」「頭を空っぽにして観てほしい」と話しており、「これがドンブラザーズの感想として正解なのかもしれない」と感じた。(※)同イベントで雉野役の鈴木が「子どもたち、暑い中観てくれてありがとう。いつか、みんながここに立つかもしれない。予行練習のような感じで楽しんでくれてたらと思います」と語っていたように、親子の夏の思い出が1つ増えたことは確実だ。

 過去の東映特撮に縁のある俳優がゲストとしてキャスティングされているのも魅力。島崎和歌子は『魔法少女ちゅうかないぱねま!』のいぱねま役、姜暢雄は『忍風戦隊ハリケンジャー』のクワガライジャー/霞一鍬役、岸田里佳は『鳥人戦隊ジェットマン』のホワイトスワン/鹿鳴館香役をそれぞれ演じていた。第20話で、島崎は映画に先行して声のみ出演し、脳人を映画出演にスカウトしている。こうした随所に散りばめられた遊び心を見つけるのも楽しめる作品に仕上がっている。

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 シリーズ作品が増えるにつれ、大人のファンも年々増えているスーパー戦隊シリーズ。しかし、原点は子ども向け。ドンブラザーズの明るさは、閉塞感のある世の中に風穴をあけるような勢いも感じる。ヒット御礼で「はなたかイベント」をするのは後にも先にも彼らだけなのではないだろうか。ドンブラザーズらしさを持ったまま、最後までどう駆け抜けるのか、シリーズの終盤まで追いかけたい。

■参照

※ https://youtu.be/Fzu__iDxUpw
(片岡由衣)

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