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『アルピニスト』完成までの道のり 「彼の魂を感じてくれることを願っている」

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『アルピニスト』(c)2021 Red Bull Media House. All Rights Reserved.

 ドキュメンタリー映画『アルピニスト』が現在公開中だ。

【写真】雪山を登るマーク・アンドレ・ルクレール

 世界的アルピニストのレジェンドたちからも一目置かれている命知らずの若きアルピニストがいた。彼の名はマーク・アンドレ・ルクレール。命綱なし、たった独り前人未到の挑戦ーー。世界でも有数の岩壁や氷壁、数々の断崖絶壁を、命綱もつけず、たった独りで登る無謀なフリーソロという登山スタイルを貫いた彼は、SNS社会に背を向けながらも、不可能とされていた数々の世界の山脈の難所に挑み、次々と新たな記録を打ち立てていく。だが、そんな偉業を成し遂げながらも、名声を求めない彼の性格から世間的な知名度はほぼ皆無だった。

 主人公であるマークは、SNSでのアピールにまったく興味を示さなかったということもあり、その偉業を知る人はごくわずか。皮肉なことに、この登山界の輝ける天才がどのような人物だったのか、世間が知ることとなったのは、2018年3月にアラスカ州ジュノー北部で、マークがわずか25年という若き生涯を終えた後のことだった。

 マークの訃報は、本作『アルピニスト』は完成直前の段階に届き、本作のメガホンを取ったピーター・モーティマーとニック・ローゼンは映画制作を諦め、マークという青年の輝きに満ちた人生を悼む日々を送っていた。時は過ぎ、マークの良き理解者である母親のミッシェルと恋人でありクライミングパートナーのブレットや周囲の人たちから、アルピニストとして生きた彼の思い出を残してほしいとの声を受けて、本作の制作を再開。マークの好きなことへの情熱や不屈の精神、そして彼の愛した風景など、彼の遺したレガシーを映画に刻みつけ、完成させた。

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 恋人のブレットは「フィルムに収められた映像記録の数々を見たらきっとエキサイトしたに違いない」とマークの思いを代弁し、「映画を観た人がマークのことを知り、彼の魂を感じてくれることを願っている」とコメントしている。

(リアルサウンド編集部)

 
   

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