日本で一般的なオムレツ。円柱状で真ん中が太く、両端が次第に細くなるのが特徴
日本でよく食べられる卵料理といえば、「オムレツ」と「卵焼き」ではないでしょうか。どちらもなじみ深い料理ですが、オムレツと卵焼きは何が違うのでしょうか。また、オムレツは国によって作り方が異なると聞きますが、主にどういった種類のオムレツがあるのでしょうか。洋食の業界団体の担当者に聞きました。
明確な違いはなし 溶き卵を使う点で共通
岩波書店が発行する国語辞典「広辞苑」で卵焼きの意味を調べると、「鶏卵を溶き、調味料を加えて焼いた料理。魚のすり身などを加えることもある」とあります。一方、オムレツは「溶いた卵を塩・こしょうで調味し、紡錘(ぼうすい)形に焼いた料理。また、肉・野菜などを卵で包み込んだり、卵に混ぜ込んだりして焼く」と書いてあります。「紡錘形」という形がポイントのようですが、専門家はどのように見るのでしょうか。
一般社団法人日本洋食協会の岩本忠会長に聞きました。
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Q.そもそも、「オムレツ」はどの国で生まれた料理なのでしょうか。また、「卵焼き」と何が違うのでしょうか。
岩本さん「フランス発祥の料理という説があります。ただ、オムレツに似た卵料理はヨーロッパ各国に存在するため、実際にどの地域で生まれたかは定かではありません。
日本では、オムレツは『紡錘形(円柱状で真ん中が太く、両端が次第に細くなる形)に焼いた卵料理』と考えられていますが、海外では『スパニッシュオムレツ(トルティージャ)』(ジャガイモなどを使うスペインの卵料理)のような、円形に焼いた卵料理などもオムレツとして認識されています。そのため、オムレツは『溶いた卵を焼いた料理の総称』と考えるのがよいと思います。
オムレツも卵焼きも、卵を溶いた後、調味料を加えて調理する点は同じです。また、海外の場合、スパニッシュオムレツのように、溶いた卵に肉や野菜などを混ぜ込んでオムレツが作られることがありますが、日本でもチーズやネギ、ホウレンソウ、ウインナーといった具材を使って卵焼きを作る人もいます。そのため、オムレツと卵焼きの違いをはっきりさせるのは難しいです。海外の人にとっては、卵焼きもオムレツに見えるのではないでしょうか」
Q.海外では、スパニッシュオムレツのほかに、どういった「オムレツ」があるのでしょうか。使用する食材も含めて、教えてください。
岩本さん「エビなどを使った『芙蓉蛋(ふようたん)』や、カニを使った『蟹肉炒蛋(シェールーチャオタン)』といった中華料理もオムレツの一種です。特に蟹肉炒蛋は、日本では『蟹玉(かにたま)』と呼ばれ、親しまれています。