おそらくスバル唯一となるであろう高級ラグジュアリークーペ

当時はマツダのユーノス コスモと同じくらい個性的なラグジュアリークーペだった、アルシオーネSVX

今から30年以上昔、まだシンメトリカルAWD+水平対向エンジンを売りとしたプレミアム・メーカーとして認知される前のスバルが夢見た「本格的な高級ラグジュアリークーペ」、アルシオーネSVX。

円高ドル安時代の到来に翻弄された悲劇のスペシャリティ・クーペ、アルシオーネのリベンジとして発売され、結果的に販売面では成功しなかったとはいえ、その後のスバルが作らなかった、今後も作らないであろうフラッグシップ・クーペとして記憶に残るクルマです。

今では伝説的な存在となっているためか、MOBY編集部がAIに聞いた、「30〜50代のクルマ好きが気になる名車」にもノミネートされています。

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不完全燃焼に終わったアルシオーネから、「今度こそ」

あくまでスペシャリティ・クーペの域を出なかったアルシオーネに対し、本気の高級クーペとして作られたスバル渾身の一作

軽自動車のスバル360やサンバー、小型車のスバル1000から、4輪車メーカーとしての歴史を地道に積み上げてきた富士重工(現・SUBARU)は、1970年代としては珍しい4WD乗用車という売りがあった一方、野暮ったいデザインで華やかさに欠けていたのも事実。

小型乗用車レオーネをベースとしてスペシャルティ・クーペに仕立て、1985年に発売したアルシオーネは目論見通り主要市場の北米で好評を得たものの、その直後に起きた「プラザ合意」による円高ドル安で高騰した現地価格に見合わぬと、一転して人気が急落します。

1987年には従来の1.8リッター水平対向4気筒SOHCターボに加え、2.7リッター6気筒自然吸気エンジンや電子制御トルクスプリット4WDを装備した高級版も発売するも、元が「安い割にカッコいい、よく走る日本車」でしたから、車格アップにも限界がありました。

そこで日本の他メーカーと同様、富士重工も「海外市場での高価格化に対応した高品質車」への転換を図り、レオーネ上級グレードの後継「レガシィ」に続き、アルシオーネ後継となるフラッグシップモデルとして1991年9月に発売されたのが、「アルシオーネSVX」です。

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