一代きりで姿を消す車には、いろいろな事情があります。
単にコンセプト自体が不人気で車名も残さず消え去る車、貿易摩擦の関係で某国から押し付けられた車、車名としては一代きりでも、コンセプトは優れていたので今後に期待し、モデルチェンジを境に改名した車。
今回は三菱自動車の車から、コンセプトは優れていて人気もあったのに、一代きりとなった名車を3台紹介します。
ギャランGTO(1972年)
三菱の乗用車で初のヒット作。初代ギャランの2ドアハードトップ車がベースの上級スポーツクーペで、アメリカンマッスルカーばりの重厚でパワフルなデザインに、ボディ後端が少し跳ね上がって躍動感を持たせたダックテールが特徴。
トップグレードはソレックスツインキャブレター装備。1.6リッター直4DOHCで125馬力の「MR」で、高価ゆえに販売台数は少なく排ガス規制で2年足らずの短命でしたが、スカイラインGT-Rのごとくイメージリーダーとしての役割は果たしました。
当初1.6L車でしたが後に1.7L車を追加。さらに排ガス規制が厳しくなる中、動力性能を維持するため小型車枠一杯の2.0Lエンジンへと拡大しています。
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スタリオン(1982年)
3代目ギャラン(ギャランΣ)がベースの三菱最後のFRスポーツクーペです。リトラクタブルライトや3ドアファストバッククーペというスタイルやターボエンジンは、同時期のマツダ RX-7などと同様、924などポルシェFRスポーツを意識。
日産のスカイラインが低迷していた時期のグループAレースで唯一、輸入スポーツを追いかけ回せた車です。ラリー用に4WDターボのグループBマシンが開発されるなどモータースポーツとの縁が深い車です。
ただし一般には、映画「キャノンボール2」でジャッキー・チェンの愛車となった姿の方が有名で、ジャッキー自身も気に入ったらしく、その後も幾度となく劇中で三菱車を使うキッカケとなりました。