行政処分と刑事処分が科されるまでの流れ

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人身事故において少しでも過失割合が自身に発生している場合、行政処分と刑事処分が科される可能性があります。

行政処分は違反点数の累積や免許停止・取り消し処分、そして刑事処分は懲役や罰金などです。それぞれの処分が科される流れを把握しましょう。

行政処分が科されるまでの流れ

日本には交通反則通告制度が導入されています。この制度は、本来であれば道路交通法に違反する行為を刑事処分に科すところを、代わりに専用の納付書で反則金を支払うことで終えられるというものです。

例えば安全運転義務違反による事故の場合、反則金の9,000円を納付することになります。

第70条(安全運転の義務)の規定に違反する行為は3年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処すると道路交通法第17条の2の2にありますから、反則金を期日までに支払わないとさらに重い処分が科される可能性が高くなるということです。

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刑事処分が科されるまでの流れ

人身事故で刑事処分に発展する場合というのは、飲酒運転や煽り運転、死亡事故などの重罪のケースです。

巷でよく見かけるような人的被害がそれほど出ていない交通事故(人身事故)であれば、訴訟されることはほとんどありませんし、警察・検察に身柄を拘束されることも稀です。この場合、在宅事件として進められます。

刑事処分に最も近い交通事故の場合、事故発生からすぐに逮捕されます。逮捕後48時間以内に書類送検、書類送検から24時間以内に勾留(被疑者の身柄拘束のこと)するか否かの判断、勾留されれば10日以内の身柄拘束(最大10日間の期間延長の可能性あり)です。

勾留されなかったり、勾留されても延長されなければ、在宅事件として操作が進められます。いずれのケースも、最終的に起訴・不起訴が決定される点では同じです。

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人身事故・交通事故の違反点数と罰金

交通事故を起こした場合、違反点数に加えて交通事故の付加点数が累積されます。次の表に示す通りで、付加点数は負傷の程度と事故の責任割合で決まります。

交通事故の被害の程度 事故の原因が
過失者に
強くある場合
過失者だけでなく
被害者にも
原因がある場合
死者が発生した事故 20点 13点
・治療期間3月以上
・後遺障害が残った
13点 9点
治療期間30日以上3月未満 9点 6点
治療期間15日以上30日未満 6点 4点
・治療期間15日未満
・建造物の損壊がある
3点 2点

数字だけ見てもわかりにくいので一例を挙げますと、玉突き事故を起こしてしまって被害者の治療期間が15日未満だった場合、安全運転義務違反による2点の違反点数と交通事故の付加点数3点で、合わせて5点の累積です。

事故を起こした時点から過去3年以内に無事故無違反の運転手は6点以上から免停(あるいは免許取消)になるので、このケースであれば首の皮一枚で「つながって」いることがわかります。