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<SHOGUN 将軍>浅野忠信、一筋縄ではいかぬ“憎めないキャラ”を好演「本当に僕が一番大変だったと思います(笑)」

WEBザテレビジョン

真田広之が主演とプロデュースを務め、ハリウッドの製作陣が手掛けるディズニープラス「スター」オリジナルドラマ「SHOGUN 将軍」(全10話)の最終話が本日23日に配信された。最終話は吉井虎永(真田)と石堂和成(平岳大)ら大老との覇権争い、そして虎永と運命を共にする英国人航海士・按針(コズモ・ジャーヴィス)はどうなるのかなど、見どころの詰まった展開に。一筋縄ではいかない今作を面白くしている主要人物の一人が樫木藪重だろう。虎永と石堂の間で、風向きを見ながら立ち回る風見鶏のような人物で、国内外から“憎めないキャラ”として人気を博している。そんな藪重を演じるのは、海外作品にも多く出演している浅野忠信。最終回直前に浅野にインタビューを行い、本作への思いとクライマックスに向けての見どころなどを聞かせてもらった。

■“憎めないキャラ”が話題に

――「SHOGUN 将軍」の反響が世界中から届いていると思いますが、浅野さんの元にはどんな反響が?

藪重に関しては本当になんだかんだ好きだって言ってもらうことが多いですね。憎めないキャラみたいな感じで(笑)。

――虎永と石堂に挟まれながら、オロオロしたり、逆に何か策を練っている感じもあったりして、気になるキャラなんですよね。演じてみてどんな人物だと思いましたか?

個性があって面白い人物です。彼の地位が高いわけではないので、間に入ってオロオロしていますけど、いろんな場面で思ったのは、藪重みたいな人間はいるべきだなということでした。そこまで地位が高いわけではないので、彼の生き方を上の人間はあまり相手にしていないと思いますが、甥の央海(金井浩人)や下の人間たちは、もしかしたら藪重のような人間がいることによって頭を回転させることが出来ていたのかなって。時代が動いていく中で世代交代もあるわけです。そこに藪重が入ることで次の時代がより面白くなるのかなって思いました。

――五大老のような高い地位ではないのですが、“伊豆”という土地に根付いている人物なので住人とのつながりが強いですし、必要な存在というのは伝わってきました。

ものすごく演じがいがありましたよ。見ている人は、藪重が何を考えているのか分からないところが多いと思いますし、本当に考えて行動しているのか?という見方もあると思いますから、そういう部分に関しての皆さんの反響をいつも楽しみにしています。

――序盤から崖から落ちたり、溺れそうになったり、体を張ったシーンもたくさんありました。

いやぁ、すごかったです。崖のシーンにしても、水のシーンにしても、大掛かりなセットの中でリアルに行われますから。水も大量に用意されていましたし、本当に僕が一番大変だったと思います(笑)。

■「心情の描き方にビックリしました」

――プロデュースも務められている主演の真田さんの「正しい日本を伝えたい」という思いが、ドラマを見るとより実感します。

撮影現場で真田さんが全精力を注ぎ込んで「正しい日本」というのを伝えようとしてくれていますし、見えるように工夫してくれていますけど、元々の脚本が日本のことをものすごく理解して書かれていたというのも大きかったと思うんです。今まで少なからずアメリカや海外の人たちと仕事をした時に、どうしても伝わらない“日本の感覚”があったんです。

日本には「言わなくても分かる」というのもあると思うんですが、そういう“見えない何か”を大切にしていたり、「表ではこういうことをしているけど内面ではこんなふうに思っています」という感覚は海外の方に理解されにくいもの。それが最初の段階で描かれていたので、「これって日本人っぽいなぁ」っていうセリフ、心情の描き方にビックリしました。

――これまで浅野さんも真田さんも海外の作品に多く出演されてきましたが、今作は今後にもつながってきそうですよね。作る側も見る側も日本に対する印象に変化があったと思いますから。

絶対につなげるべきだと思います。これを機にアメリカだけじゃなく、世界中の人たちと日本の映画人たちが仕事をして、それを日本に持ち帰ったり、逆に広めていったりできるといいですよね。

――あらためてプロデューサーと主演を兼任された真田さんは、浅野さんの目にどう映りましたか?

僕にはできないことをされていたので本当に尊敬します。本当にすごい。朝は誰よりも現場に早く入って誰よりも遅くまで現場に残って。みんなの言葉に耳を傾けて、より良い作品にするために意見を取り入れて。プラス、アメリカのスタッフともコミュニケーションを取って、理解できていない人がいれば丁寧に、相手が納得するまで説明していくわけです。それをやった上で、虎永様を演じていましたから、これはまねできるものではないですよ。

――他のキャストの方にお話を伺わせていただいた時も、同じようにおっしゃってました。誰よりも早く現場に来て、モニターで確認をしながら丁寧に進められていた、と。

はい。後ろにいるバックグラウンドのエキストラの方たちにも一人一人指導していましたから、それはなかなか出来ることではないです。真田さんは以前にも共演経験がありますが、新しい一面をたくさん知ることが出来たので、この作品に出演できて本当に良かったと思っています。

■「何でもない日常を描くような作品をやってみたい」

――役者の方がプロデュースを手掛けられることも最近また増えてきていると思いますが、もし浅野さんがプロデュースするとしたら、どんなタイプの作品を手掛けてみたいですか?

現代の日本人…僕と同じくらいの50代の男とか、そういう人が主人公の何でもない日常を描くような作品をやってみたいですね。そういった日常を描くことは意外と難しいと思うんです。でも、そういう作品も世界中の人が共感してくれるものになるような気もするんですよ。

――浅野さんのプロデュース作品もいつか見てみたいです。

ありがとうございます(笑)。

――「SHOGUN 将軍」もいよいよクライマックスです。毎回内容が濃くて、「この人物がここでいなくなるの?」と驚きながら見ていますが、最後どういうところに注目して見てもらいたいですか?

登場する人物それぞれが何かしらを抱えているんですよね。その抑圧されたものが溢れ出すというか、爆発するというか、それぞれの思いが見えてきます。うまく言葉では言えませんが、そういった言動が、これまでの話とつながってくると思いますので、最後まで楽しんでいただけたら。

――最後に浅野さんの“役者”として大事にしていることを聞かせていただきたいです。もちろん作品ごとに違うとは思いますが、いつもどのように作品や役柄と向き合っていますか?

自分の役がどういう役か、ということですね。自分の役はまさに“役割”で、物語の中でどういう役割を託されているのかな?ということをまず考えます。今回の「SHOGUN 将軍」でもそうでした。藪重というのは大きな役ですし、虎永様や石堂様の顔色をうかがいながらもいろいろと引っかき回す役ですから(笑)。

それは結構な勢いで食い込んでいかないといけないなと思いました。逆に、(北野)武さんの映画「首」(2023年)では黒田官兵衛役だったので、そこまで出しゃばる役割ではないですし、後ろで静かに控えていることでその役の魅力が最大限に出ますし、物語をより面白くさせる要素になれると思うんです。同じ時代劇でも、役割が違うと、演じ方も変わってきますし、それがやっていて面白いところでもありますね。

――最終話が配信された後「SHOGUN 将軍」ロスになりそうな感じがします。

そう言っていただけるのは本当にうれしいですね(笑)。あくまでも個人的な希望ですけど、登場するキャラクターも個性があって魅力的な人物も多いので、スピンオフ的な作品とかもあったらうれしいなって思ったりしますし、いろんなことが考えられるんじゃないかなって。でも全10話、各話見応えがありますので、よりたくさんの人に楽しんでもらいたいです。

◆文=田中隆信


 
   

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