久しぶりに下駄に乗った寿司を目の前にする。街場の寿司屋さんはコロナの影響もあって、気づけば閉店してしまったお店も少なくない。それでなくても、コロナ以降大手チェーンが出店しまくっているので、寿司下駄を見る機会も少なくなった。
やっぱり寿司はプラスチック皿に乗っているよりも下駄に乗ってる方がいいよね。凛々しく見える。
赤身は本マグロを使用している。ネタの色艶がよく、あしらいが丁寧で赤身とシャリのコントラストが美しい。
シャリはやや小さ目で、ネタとの大きさバランスがちょうど良い。米粒のほどけるような握り具合も絶妙だ。機械ではできない力加減ではないだろうか。
寿司を食いながら、少しお酒を飲みたくなってしまった。瓶ビールをコップに注いで、寿司をつまみにキュッと飲む。または刺身を肴にキュッと飲む。そんな飲み方がふさわしい味である。
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カウンターの中には大将らしき人と、若い見習い男性がいた。それほど忙しくなかったので、多少言葉を交えながら仕事をしている。大将は「お前次いつ休みだっけな?」と問いかけ、続けざまにこう言った。
「お前がいないと寂しいんだよ」
そんなささやかな会話でさえも、美味しく感じさせてくれる。夜は夜でまた違う雰囲気の人情営業を楽しめそうだ。もっと早く来ておけばよかった。たとえ近所に大型の商業ビルができても、街が観光向けにキレイになっても、ここはこのままずっと昭和を感じさせる店であってほしい。
・今回訪問した店舗の情報
店名 野郎寿司本店
住所 東京都新宿区歌舞伎町2-10-4 ジェストビル 1F
営業時間 12:00~翌6:00(ランチ12:00~15:00)
執筆:佐藤英典
Photo:Rocketnews24