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ゲリラ豪雨の発生メカニズムと対策をわかりやすく解説

防災ニッポン

ゲリラ豪雨で特に発生しやすい災害は、「中小河川の氾濫」「低地の浸水」です。

これらの被害に備えるためにも、以下のポイントを中心に住宅まわりを点検しておきましょう。

・雨どいの詰まりがないか
・塀に亀裂やひび割れがないか
・道路の側溝や雨水ますがふさがれていないか
・トタンのめくれや、かわらのズレはないか
・がけ、よう壁に異変はないか

ゲリラ豪雨は短時間にまとまった雨が降ることから、大きな河川に比べて流域面積が小さく、河川延長が短い中小の河川は、洪水の到着時間が早く急激に増水しやすい特徴があります。

また、都市部の中小河川は地表面がコンクリートに覆われているケースが多いため、雨が地中に浸透しにくく、雨水となって河川に流れ込み、さらに急激に増水しやすい特徴があります。

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さらに、ゲリラ豪雨が発生して排水が間に合わないと低地の浸水が起こり、地下街や地下鉄などに水が流れ込んだり、アンダーパスに水が溜まったりするなどのリスクがあるので注意が必要です。

ハザードマップの確認

ハザードマップはさまざまな災害による被害想定を一目でチェックできるほか、避難場所の情報も掲載されています。

ゲリラ豪雨に備えるためには、ハザードマップを確認して自宅や職場、生活動線に浸水や洪水のリスクがないかチェックしておきましょう。

ゲリラ豪雨でハザードマップを確認する際は、「洪水ハザードマップ」と「内水ハザードマップ」をチェックします。

なお、ハザードマップは住んでいる市区町村役場の窓口で入手することができます。また、近くの自治センターで配布されていることもあるため、どこで入手したらいいかわからない場合は、市区町村役場に問い合わせてみましょう。

市区町村の多くは公式サイトでもハザードマップを公開しているため、チェックしてみてください。また、全国のハザードマップを一元管理し、簡単に閲覧できる「国土交通省の重ねるハザードマップ」も便利なのでおすすめします。

重ねるハザードマップの洪水・内水という項目をチェックすると、洪水ハザードマップと内水ハザードマップの浸水想定域を同時に表示できます。

引用:重ねるハザードマップ「洪水・内水を選択」

また、近くに山がある場合は土砂災害が発生する可能性もあるため、重ねるハザードマップの土砂災害の項目もチェックし、土砂災害警戒区域に入っていないかも確認しておきましょう。ゲリラ豪雨で土砂災害発生の危険度が高まると、避難指示の目安となる「土砂災害警戒情報」が発表されるため、土砂災害警戒区域に入っている場合は早めの避難が必要です。

浸水への対策

ゲリラ豪雨が発生したときに、浸水被害が真っ先に起こりやすいのは地下や半地下の駐車場、玄関です。どのような経路で水が流れ込んでくるかを想定し、「水の侵入を防ぐ方法はないか」「止水板を設置して水の流れを変えられないか」などを検討しましょう。

水の侵入を防ぐためには、袋の中に土砂を詰めた「土のう」や袋の中に水を詰めた「水のう」をおすすめします。

土のうは市区町村で配布している場合もあります。住んでいる市町村の土木管理課や防災管理課などに問い合わせてみましょう。水のうは、市販されている「水のう袋」を購入し、水を詰めるだけで作ることができます。

側溝は、排水口や排水溝にゴミなど詰まっていると排水ができずに、雨水が逆流して浸水する可能性があるため、日頃からゴミが詰まっていないかチェックし、ゲリラ豪雨に備えておきましょう。

突風への対策

ゲリラ豪雨では竜巻やダウンバースト(積乱雲などから爆発的に吹き降ろす気流および、これが地表にぶつかり吹き出す破壊的な気流)などの突風を伴うことが多いため、浸水や洪水に加えて突風対策を行うことも大切です。

ゲリラ豪雨が発生した際に屋内にいる場合は「窓ガラスから離れる」「雨戸、窓、カーテンを閉める」「丈夫な机やテーブルの下に入って身を守れるように準備しておく」などの対策を行いましょう。

屋外にいる場合は頑丈な建物の中に入って避難するか、建物がなければ姿勢を低くして両腕で頭や首を守るようにすることが大切です。突風によっては電柱や樹木が倒れる可能性もあるため、これらに近づかないようにしましょう。


引用:気象庁「竜巻から身を守るための行動」

ゲリラ豪雨による竜巻や突風は発達した積乱雲がもたらします。前兆として、「空が真っ暗になる」「大粒の雨やひょうが降り出す」「雷が発生する」「冷たい風が吹いてくる」などがあるため、このような現象が見られるときは特に注意しなければなりません。

気象庁では突風に関する気象情報として「雷注意報」で注意喚起を行い、発生確率が高まったときには「竜巻注意情報」を発表します。これらの情報が発表されたときは、突風への備えも意識しておきましょう。

非常用グッズの備え

ゲリラ豪雨は局地的に起こる現象で、継続時間も長くはありません。そのため、災害による被害も局地的になる可能性が高いですが、土砂崩れによって道路が寸断されて孤立するなどのケースもあるため、最低でも非常用グッズを3日分は備えておきたいところです。

<非常用品の例>
・水(1人1日3ℓ)
・非常食:乾パン、クラッカー、レトルト食品、缶詰等
・衛生用品:医薬品、マスク、生理用品等、簡易トイレ
・熱中症対策:乾電池式のハンディファン、冷却タオル、塩タブレット、経口補水液など
・水のう袋
・懐中電灯
・モバイルバッテリー
・ポータブル電源
・車用緊急脱出用ハンマー

ゲリラ豪雨では急激に浸水が発生することも多く、運転中に浸水している場所に侵入してしまい、車が水没して脱出できなくなるケースもあります。このような場合に備え、車には車用緊急脱出用ハンマーを常備しておきましょう。

また、ゲリラ豪雨が発生しやすい時期は気温が高い夏です。浸水や土砂災害によって停電が発生すると電気が使えなくなるため、熱中症対策用に冷却タオルや塩タブレットなども用意するとよいでしょう。

避難への備え

ゲリラ豪雨が発生すると避難が必要になるケースもあります。ここでは、避難への備えで意識しておきたいポイントを紹介します。

避難時の服装

ゲリラ豪雨で避難する際は、以下の服装を心がけましょう。
・ヘルメット(なければ帽子)
・荷物はリュックに入れて両手を空ける
・長ズボン、長袖、軍手を着用
・棒や傘を使って側溝やマンホールにはまらないようにする
・底が厚めのスニーカーを着用

ゲリラ豪雨では突風を伴う場合もあるため、風で物が飛んできたときに備えてヘルメットや帽子を着用しましょう。また、浸水している場合は足元の状態がわからないため、棒や傘を使って確認しながら、転倒した際に受け身が取れるように両手を空けておくことが大切です。

道路の浸水がほとんどなければ長靴も有効ですが、水が入ってしまった場合に歩行が困難になるため、底が厚めのスニーカーをおすすめします。

避難経路の確認

ゲリラ豪雨に備えるためにも避難経路の確認をしておきましょう。

避難をするルートは河川や斜面から離れた高い道路を選ぶことがポイントです。ハザードマップで途中に危ない箇所がないか、チェックしておきます。また、ゲリラ豪雨が発生したと想定し、避難所まで実際に歩いておきましょう。

避難の際に車で移動すると、浸水によって動かなくなる可能性もあるため危険です。災害時は車の利用を控え、徒歩での避難を行いましょう。

避難所への避難が困難な場合は、近くにある鉄筋コンクリートなどで建てられた頑丈な建物のできるだけ高い階に避難します。また、近くに該当する建物がなく、浸水して避難が困難な場合は無理をせずに自宅の高いところに避難しましょう。土砂災害警戒区域に入っている場合は、斜面から離れた部屋に避難することを心がけてください。

また、災害時は家族の安否が気になって家に戻る途中に被災するケースもあります。普段から家族と災害時の集合場所や避難場所などの情報を共有しておくことも大切です。

まとめ

ゲリラ豪雨は短時間で河川の氾濫や浸水、土砂災害をもたらす可能性があるため注意が必要です。
ゲリラ豪雨は気象災害の中でも特にピンポイントの予想が難しい現象です。災害が発生したときに迅速な対応ができるように避難時の行動を家族で話し合い、非常用グッズも用意しておきましょう。

〈執筆者プロフィル〉
田頭 孝志
防災アドバイザー/気象予報士
田頭気象予報士事務所。愛媛の気象予報士・防災士。不動産会社の会員向けの防災記事、釣り雑誌にコラムの連載・特集記事の執筆、BS釣り番組でお天気コーナーを担当したほか、自治体、教育機関、企業向けに講演を多数、防災マニュアルの作成に参画。

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