『女は二度決断する』でゴールデングローブ賞外国語映画賞を受賞したほか、世界三大映画祭で主要賞を獲得するなど、世界中で高い評価を受けているドイツの若き才能、ファティ・アキン監督の最新作『RHEINGOLD ラインゴールド』が 3 月２９日（金）より、ヒューマントラストシネマ有楽町、シネマート新宿、Bunkamura ル・シネマ 渋谷宮下ほか全国順次ロードショーいたします。
©2022 bombero international GmbH & Co. KG/Palosanto Films Srl/Rai Cinema S.p.A/Lemming Film/corazón international GmbH & Co. KG/Warner Bros.Entertainment GmbH Photo©2022 Bombero Int.-Warner Bros. Ent.-Gordon Timpen
本作の主な舞台ドイツは実は HIPHOP 大国！そのドイツで「知らぬ者はいない」と言われる、本作の主人公であるカターについて、そして、ドイツの HIPHOP 事情を紹介する。また、映画内で登場するカターのレーベルに所属するラッパーSchwesta Ewa(シスター・エヴァ)、と Eno 演じる SSIO による映画本編のラップシーンも公開！
ドイツヒットチャートを自身の曲とプロデュース曲で席巻！
難民→金塊強盗→No.1 ラッパー→音楽プロデューサー→
ファッションデザイナー、実業家…成功を手に入れた破天荒男！
ドイツのスターラッパー・Xatar(カター)とは？
『RHEINGOLD ラインゴールド』は金塊強盗から成功した実在のスターラッパー、カターについて描いている。日本ではまだ知名度の低いカターだが、ドイツでは知らぬ者は誰もいない、と言われるほどの超有名人。クルド系音楽家のもとにイランで「ジワ・ハジャビ」（ジワは“困難”を意味する）として生まれ、革命により亡命を余儀なくされ、赤十字の支援によりボンへやってくる。有名作曲家である父の指導により、幼少期からピアノのレッスンを受けながらも、貧困から数々の悪事を働く。転機は NWA の元メンバーであり、エミネムや 50 セントのプロデュースでも知られるドクター・ドレ―の 1st アルバム「The Chronicle」。このアルバムを聞いたこと
から、HIPHOP に興味を持ちだし、“危険”を意味ずるカター名義でラップとビート制作を始める。その後も悪行はエスカレートし、度重なる投獄の末に金塊強盗によって収監されるが、拘留中にレコーディングしてアルバム「Nr.415」を発売、ドイツ日ある亜夢チャート 19 位にランクインする。釈放後は精力的に、自身のアルバムを含めプロデュースでも数々のヒットを飛ばし、飲食業、ファッションとジュエリーのデザイン、と八面六臂の活躍。「映画で成功後のカターを描く必要はない。だってドイツの人なら誰もが彼の活躍を知っているから」とファティ・アキン監督が語るほど、ドイツ人でカターを知らぬ者はいないほどのスーパースターとなった。あまりの破天荒な実話に、映画を鑑賞したマスコミからも「これが実話だなんて……」と驚きの声が上がっている。
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1981 年 12 月 24 日イラン北部クルディスタン州のサナンダジュ生まれ。本名ジワ・ハジャビ（Giware Hajabi）。愛称は G。カターはクルド語で「危険」を意味する。ラッパー、音楽プロデューサー、レストラン経営者など様々な顔を持つ。2015 年に出版し、シュピーゲル誌ノンフィクション部門のベストセラー部門に入った自伝「Alles oder Nix: Bei uns sagen man, die Welt gehört dir（オール・オア・ナッシング：世界はお前のもの）」をベースに『RHEINGOLD ラインゴールド』は作られた。
カターが創設したレーベルには「Alles oder Nix Records」「Kopfticker Records」「Groove Attack TraX」「GoldmannEntertainment」があり、SSIO、Schwesta Ewa、Mero、Sero el Mero といった HIPHOP ミュージシャンが所属している。
▼Xatar 公式 YouTube チャンネル
www.youtube.com/@xatar4513
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日本と比べ物にならない！
ドイツの HIPHOP シーンが熱すぎる……！
日本では英語圏の HIPHOP が多く聴かれているが、ドイツのヒットチャートはドイツ産 HIPHOP が大人気。2023 年のシングルベスト 20 でも、実に 10 曲がドイツ語圏の HIPHOP 曲、半数を占めているのだ。
11 位のエミネムなどドイツ語圏以外のHIPHOP 曲もランクインしており、ドイツの音楽シーンは HIPHOP 中心に回っていると言っても過言ではない。種類もギャングスタ・ラップから、パーティーチューンの HIPHOP など多種多様。常インヒットチャートに食い込む APACHE207（1 位と 14 位）はトルコ系ドイツ人でメロディアスなラップが特徴。子役出身ニナ・チューバ（4 位と 15 位）はポップなラップソング。いつもスキーゴーグルを着用している SKI AGGU（12 位）はテクノ寄りの HIPHOP でランクインしている「FRIESENJUNG」はスティングの名曲「ENGLISHMAN IN NEWYORK」を大胆にサンプリングしたもの。ちなみに 3 位にランクしている AYLIVA FEAT.MERO のMERO はカターのレーベル所属のアーティストでトルコ系ドイツ人。現在進行形でカターの影響力を見て取ることができる。生粋ドイツ人のラッパーも多いが、ドイツへの移民で最も多いトルコ系をはじめ、外国にルーツを持つラッパーが多いのも特筆する点だろう。
ポーランドからきた元売春婦 Shwesta Ewa、
アフガニスタン系 SSIO、クルド系ドイツ人 Eno……
カターのレーベルに集う強者ラッパーたち！
カターが 2007 年に創設した音楽レーベル「Alles oder Nix Records」には、先述の Mero のほか、カターが劇中で心を奪われるラッパー、SSIO（元・Kanakonda）や、元売春婦の女性ラッパー、Schwesta Ewa(シスター・エヴァ)などのアーティストが所属している。Schwesta Ewa とは、金塊強盗後の収監までの間にレーベル契約を行い、出所 1 か月で 1st アルバム「Kurwa」を発売、11 位にランクインさせる。翌年、SSIO のアルバム「0,9」はドイツチャートで 1 位を獲得。音楽レーベル「Allesoder Nix Records」の活躍はとどまることがなかった。
